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平成20年6月号

市場事務所便り
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社会保険労務士市場 敬將
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違法派遣・偽装請負の一掃へ向けた取組み

◆「緊急違法派遣一掃プラン」がスタート
厚生労働省は、社会問題化している違法派遣や偽装請負を一掃するため、「緊急違法派遣一 掃プラン」を4月からスタートさせました。 新たに制定した「日雇派遣指針」や「労働者派遣法施 行規則の改正」等をもとに、労働者派遣制度の周知と指導を強化していく方針です。

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◆「労働者派遣法施行規則」のポイント
 労働者派遣法施行規則の改正では、まず、派遣元が年1回労働局に提出する事業報告書の 様式に、 「日雇派遣労働者の数」、「従事した業務にかかる派遣料金」、「日雇派遣労働者の賃金」等を追加しました。 また、派遣先責任者については、労働者派遣が1日を超えない場合で も選任を義務化し、派遣先管理台帳の作成も義務化しています。
 その他にも、派遣先管理台帳の記載事項に、「派遣労働者が従事した事業所の名称及び所在 地その他派遣就業した場所」を追加し、 また、派遣元事業主への通知事項には、それらに加え「従事した業務の種類」も追加しました。

◆「日雇派遣指針」のポイント
 日雇派遣指針は、日々または30日以内の期間を定めて雇用される者(30日以内の期間を定めた雇用契約を更新して通算30日を超えるような場合も対象となる)を対象とした、派遣元事 業主および派遣先が講ずべき措置を定めたものです。
 今回、厚生労働省から発表された指針は10項目ほどです。主なものとしては、まず「日雇派遣 労働者の雇用の安定を図るために必要な措置」として、事前の就業条件の確認や雇用契約の 期間の長期化、契約解除の際に就業のあっせんや損害賠償等の適切な措置を図ること等が 挙げられます。また、「労働者派遣契約に定める就業条件の確保」では、派遣先の巡回や就業 状況の報告により、契約に定められた就業条件の確保が望まれています。
 また、「労働・社会保険の適用の促進」「教育訓練機会の確保」「関係法令等の関係者への周 知」「安全衛生に係る措置」などの、いずれも「派遣労働者や日雇労働者だから」という理由で おざなりにされがちだった分野についても、今回の指針では着目されています。「情報の公開」 では、労働者派遣の実績、派遣料金の額、派遣労働者の賃金等の事業運営の状況に関する 情報の公開が求められ、これにより、派遣労働者側も情報による選択をしやすくなると思われます。

◆今後の動きは?
 今回の改正の多くは、日雇派遣に関するものですが、厚生労働省はこれを機会に期間制限業務や26業務の適正な運用等を含め、従来の違法派遣についても指導と監督を強化する方針を打ち出しています。


夫の年金を強制的に分割する
「3号分割制度」

◆「離婚分割」とは異なる「3号分割」
 平成19年4月から、夫婦が離婚した場合に厚生年金を分割する制度(「離婚分割制度」)が始まって大きな話題を呼びましたが、平成20年4月からは新たに「3号分割制度」がスタートしました。
 「3号分割制度」は「夫が厚生年金保険の被保険者、妻が第3号被保険者」という夫婦が離婚した場合、平成20年4月1日以降の第3号被保険者期間について、妻からの請求により、夫の特定期間(特定被保険者が被保険者であった期間であり、かつ、その被扶養配偶者が当該特定被保険者の配偶者として第3号被保険者であった期間)中の被保険者期間の標準報酬を自動的に2分の1に分割するというものです。
  この「3号分割」は、「離婚分割」のように夫婦間の合意は必要ないのが大きな特徴です(なお「離婚分割」の場合であっても、按分割合等についての合意は必要です)。

◆保険料は夫婦が共同して負担したもの
 標準報酬を自動的に2分の1にするという考え方は、「第3号被保険者を配偶者とする第2号被保険者の保険料は夫婦が共同して負担したものである」という基本的認識を根拠にしています。
  なお、平成20年4月以後の「離婚分割」についてですが、「3号分割」をまず行ったうえで「離婚分割」を行う必要があります。「3号分割」のみの請求も可能とされています。
  また、複数回結婚・離婚等をした場合には、それらの特定期間を通算して3号分割の請求を行うことはできません。それぞれの離婚等ごとにその請求期限内に3号分割の請求を行わなければならないのです。

◆「離婚分割」の申立てはどのぐらいあったか?
 「離婚分割」の申立ては、制度開始時から昨年末までの9カ月間で8,322件あったことが最高裁 判所の集計で明らかになっています。1カ月平均800〜1,000件で推移しており、離婚調停・訴 訟に合わせて申し立てられたケースが7,479件あり、合意に至らずに審判などに持ち込まれた ケースが843件あったそうです。
  今後、果たして「3号分割」の申立てはどのぐらいあるのでしょうか? また、この制度のスター トにより離婚の件数にも影響を与えるのか、注目したいところです。



問題噴出の
「後期高齢者医療制度」

◆低所得なのに保険料増!?
 後期高齢者医療制度(長寿医療制度)に関するマスコミ報道が跡を絶ちません。
 厚生労働省は当初、「低所得者は保険料負担が軽くなる」と説明してきましたが、国民健康保 険(国保)から移行した低所得の夫婦世帯の多くで、保険料負担が増えている可能性が高いこ とが明らかになりました。
  これまで同省は、全国の市町村の8割が採用している算定方式を用いた試算により、同制度 の保険料は国保のときよりも減ると説明していましたが、この算定方式が適用されるのは国保 の加入者数で見ると5割に満たないことから、試算方法を見直すほか、市区町村ごとの実態調 査を実施するようです。

◆1万2,000人に新保険証が届かない
 保険証の問題も深刻です。厚生労働省は、新たな保険証が届いていない高齢者が5月1日の 時点で約1万2,000人いることを発表しました。
 転居の届出をしていないために行方がわからなくなっている人も多いそうで、同省では、未着 の場合には引き続き古い保険証や免許証で医療が受けられるように医療機関に要請するとし ていますが、すべての保険証が届くのはまだまだ先のことのようです。

◆障害者が事実上「強制加入」
 寝たきりなどの理由から障害者と認定された人が後期高齢者医療制度に加入しないと医療費 補助を打ち切る措置をとっている自治体があることもわかっています。
 この措置をとっているのは10道県(北海道、青森、山形、茨城、栃木、富山、愛知、山口、徳島 、福岡)で、任意とされているはずの障害者の加入が「事実上強制となっている」との批判が起 きつつあるようです。

◆保険料は7年後に4割増!
 厚生労働省は、本人負担の保険料が7年後には約4割も増えると試算しています。 現役世代の負担が大きくならないよう、高齢者の負担割合を引き上げるのがその理由であり、2008年度は年額6万1,000円の保険料が2015年度には約39%増の8万5,000円になると見込まれています。

◆果たして制度の見直しはあるのか?
野党4党は、後期高齢者医療制度の廃止法案を共同で参議院に提出し、早期可決を目指す 意向を示しています。また、与党である公明党でも制度の見直し(低所得者の保険料引下げ、 保険料天引きの廃止など)に着手しているといわれています。



「年金記録問題」関連での
新たな動き

◆年金記録訂正後の見込額を示す「仮計算書」を発行へ

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 先日、舛添厚生労働大臣は、「ねんきん特別便」が到着した受給者が社会保険事務所で年金 記録を訂正した際に、訂正後はどのぐらい年金額が変動するかの試算結果を示した「仮計算 書」を発行することを明らかにしました。
  今月からこの「仮計算書」を発行するとしており、すでに訂正が終了している人にも発行される そうです。

◆記録訂正で年金減額となる場合の対応
 新たに年金記録が判明した場合、年金記録を訂正することにより「年金増額」となるのが一般 的ですが、「年金減額」となる場合もあります。そのような場合、これまでは窓口の職員により、 減額したりしなかったりと対応がまちまちだったようですが、「減額とするのは合理性に欠ける」 との理由から、基準が統一されることになりました。
  社会保険庁は、上記のように減額となる場合には「修正なし」として取り扱って受給額が減らな いようにする方針を決定しました。同庁は、今月からこの措置を実施するよう全国の社会保険 事務所に指示を出したそうです。

◆年金保険料の過払いを通知へ
 また、社会保険庁は、年金を満額受給するのに必要な期間を超えて保険料を支払った人に対 して、何らかの通知を行うことを検討しているようです。
  今月から、過払いの申出をした人に対しては過払い分の保険料の返還を開始しましたが、申 出を前提とした対応自体を改めることとしました。しかし、現行のシステムを改善するのには1 年程度かかるため、実施されるのはまだ先になりそうです。

◆「ねんきん特別便」いまだに55万通が未着
 上記のように、受給者や被保険者のための対策がいろいろと講じられています。 しかし、「宙に浮いた年金記録」の持ち主である可能性が非常に高い約1,030万人に送付され た「ねんきん特別便」については、全体の約5.3%に相当する約55万通が未着となっているそ うです。「年金記録問題」の収束にはまだまだ時間がかかりそうです。


今月のことば
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 天才型の選手は、おしなべて物事を深く考えようとはしない。その必要もないからだが、肉体 やそれにともなう技術の衰えをカバーしなければならなくなったとき、誤った考えに陥ることが ある。杉浦の場合はその典型だったと言えよう。
  しかし、この世に生きるほぼすべての人間は天才ではない。努力をせねば追いつき、追い越 せない、あるいは先頭に立つことはできない。
 そのためには、「気づく」「感じる」そして「考える」ことだ。「人間は他者との差や違いで勝負す る存在」なのだから、小事、細事に神経を行き届かせ、その積み重ねによって自己を確立して いかねばならない。勝者と敗者の分岐点もそこにあるのだ。再度申し上げるが、「小事、細事が 大事を生む」という理念を大切にしたいものだ。

野村克也 著
『エースの品格一流と二流の違いとは』より抜粋


〜当事務所より一言〜

 関東甲信越地方は6/2に梅雨入りをしたとみられるという気象庁の発表ですが、平年より早く、更に九州北部より早い梅雨入りでこれは13年ぶりの珍事との事だそうです。
  この時期になってくると毎年心配するのがかび・食中毒。余ったおかずも冷蔵庫なら大丈夫と 入れてしまうのですが、気をつけなければと思っています。そしてもう一つ、お弁当。今年から 長女が高校生になり毎日お弁当となりましたが、夏場のお弁当のことを考えるとちょっと頭が痛いです。

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 労働保険の年度更新処理はご協力頂き有り難うございました。6月は社会保険の算定基礎届の作成時期となります。必要書類の準備、書類への押印をお願いすることとなります。後日ご案内の文章をお送り致しますので、ご協力をお願い致します。

(市場敏江)

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