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平成20年11月号

市場事務所便り
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社会保険労務士 市場 敬將
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厚生年金・健康保険の
未加入事業所が10万超に

◆前年同時期と比べて約3,000カ所増加
 厚生年金や健康保険に加入義務があるのに加入していない事業所が、今年3月末の時点で約10万カ所(前年同時期比約3,000カ所増)あることが、社会保険庁の調べで判明しました。未加入のままでは、従業員が将来年金を受け取ることができなかったり、医療費の自己負担額が増えたりするおそれがあります。

◆未加入事業所の実態は?
 今回、社会保険庁が雇用保険などのデータをもとに、未加入が疑われる事業所を抽出して調べたところ、3月末時点で10万470カ所が政府管掌健康保険に未加入でした。そのほとんどが厚生年金保険にも未加入です。従業員規模が小さいほど未加入の事業所が多い傾向がみられ、未加入事業所のうち、従業員数が5人未満の事業所は約8万2,000カ所、5〜9人の事業所は 1万4,000カ所と、大半を占めました。
 なお、2007年3月末に政管健保と厚生年金に未加入とされたのは約9万7,000カ所でした。1年間でこのうち2万4,000カ所が加入するなどして、未加入は約7万3,000カ所になったのですが、今回の調査で新たに約2万7,000カ所が未加入であることが判明し、未加入事業所は差し引き3,000カ所増えています。

◆未加入をなくすためには調査・把握が必要
 社会保険庁が未加入事業所対策に力を入れ始めたのは、2004年度以降のことで、それ以前は実態の調査も行わず、加入の呼びかけにも消極的でした。現在は、まずは文書や電話で加入を促し、従わない場合には社会保険事務所への呼出しや戸別訪問で加入を求めています。
 中小企業には、新規開業や廃業、休眠会社も多いため、実態を十分に把握するのは困難です。また、今回の調査で把握できなかったものも含めれば、相当多くの未加入事業所があることも予想されます。
 今後、加入率を上げられるかどうかは不透明です。2007年度に強制加入手続で加入したのは73カ所(被保険者数483人)であり、今後の加入促進策による加入率上昇が期待されます。まずは未加入事業所の徹底的な調査と把握、そしてその後の粘り強い働きかけが必要でしょう。



借金を抱え賃金債権を
譲渡した社員にどう対応する?

◆消費者金融から会社に電話が…
 個人的に消費者金融から借金をしていた社員が、返済が滞ったことから3カ月程度の自己の賃金債権を譲渡したらしく、消費者金融から会社に債権(賃金)の支払いを求める電話がかかってくるようになった――。
 社員が消費者金融に賃金債権を譲渡したとはいえ、労働基準法には「賃金は、直接労働者に支払わなければならない」という直接払いの原則があります。このようなケースでは、どのように対応したらよいのでしょうか。

◆裁判所の命令があれば有効
 社会保険関係の法律では、一般に保険給付の受給権の譲渡を禁止しており、また、労働基準法では、労働者が使用者に対して有する災害補償を受ける権利については譲渡を禁止しています。しかし、賃金については特に規定はありません。したがって、賃金に関しては、譲渡は可能とも考えられます。
 しかし、使用者に対し立場の弱い労働者を保護するため、労働基準法では賃金の支払いに関する「直接払いの原則」が定められています。過去の裁判等では、たとえ債権譲渡をしたとしても労働基準法の直接払いの原則を優先するとする裁判例が多く(電電公社小倉電話局事件:最判昭43.3.12等)、賃金を金融業者に支払うことはできないと考えるのが一般的です。
 ただし、民事執行手続により裁判所が差押えを命じた場合は、雇用主は差押命令に応じなければなりません。これは一見、直接払いの原則に反するようにも見えますが問題ありません。借金返済が滞った場合だけでなく、国や地方への税金の滞納も同様です。

◆生活者保護のために差押金額を制限
 しかし、給与全額を差し押さえられてしまうと、その社員は生活できません。このため、債務者保護の観点から、差押金額は原則、賃金から所得税・地方税・社会保険料等を控除した手取り賃金額をベースに、賃金の4分の1までとされています。
 標準的な世帯所得を超える高給をもらう人については、政令で定める額を超える部分の全額を差し押さえることができます。標準的な家庭に必要な生活費として33万円を想定し、33万円が4分の3に相当する44万円で線引きをし、手取り額が44万円を超えていれば、33万円を残してそれ以上の部分はすべて差し押さえられます。
 企業としては、法律に基づく強制執行手続の場合を除き、やはり生活者(労働者)保護の精神を念頭に置いて、労働法規に則り慎重に対応することが肝要です。



「名ばかり管理職」
排除通達について

◆管理監督者の範囲の明確化
 厚生労働省は、「名ばかり管理職」問題を解決するため、労働基準法上の管理監督者に該当するかどうかの判断基準を示した「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」(平成20年9月9日付け基発第0909001号)と題する通達を、9月9日に出しました。この通達が出された背景には、店長に対する残業代支払いを大手外食チェーン等に命じる判決が相次ぐ中、裁判例を参考に法律の運用を見直す必要に迫られたことがあります。

◆9月9日付け通達の内容は?
 上記の通達では、多店舗展開する小売業や飲食業を対象に、管理監督者性を否定する重要な要素を挙げています。具体的には、(1)アルバイト・パート等の採用に責任がないこと、(2)部下の人事考課が職務内容に含まれないこと、(3)遅刻や早退の際には減給等の不利益な取扱いをされること、(4)賃金額が当該企業の他の一般労働者の賃金総額と同程度以下であること、といった項目が列挙されています。

◆通達のより正確な理解のために
 しかし、上記通達については、連合と日本労働弁護団が「管理監督者の基準の緩和につながりかねない」として同省に見直しを要請していた。そこで、業界団体等が誤った解釈をしないよう、厚生労働省は10月3日に新たに「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化を図るための周知等に当たって留意すべき事項について」(平成20年10月3日付け基監発第1003001号)を出しました。
 この通達では、9月9日付けの通達の趣旨・内容が正確に理解されるように懇切丁寧な説明を行うよう求めており、次のポイントを指摘しています。

(1)店舗の店長等について管理監督者の範囲の適正化を図る目的で発出されたものであること
(2)昭和22年9月13日付け通達で示された管理監督者の基本的な判断基準を変更したり緩めたりしたものではないこと
(3)判断要素は否定的な要素を整理したものであり、これらにひとつでも該当する場合には、管理監督者に該当しない可能性が大きいと考えられること
(4)通達に該当しない場合は、実態を踏まえ、慎重に判断すべきものであること
また、同省ホームページ上では9月9日付け通達に関するQ&Aも公開されました。通達の説明や周知徹底のために再度念が押されるということは、「名ばかり管理職」問題に対して国が本気で対応し始めたことの表れと言えるでしょう。企業では、この問題に対して速やかな対応策を取ることが求められます。



今月のことば

小松原というソ連通で、モスクワ駐在武官まで経験している中将が、ノモンハンの戦場での最高司令官でした。彼は秀才だったろうけれど、当時の日本の多くの高級軍人と同様、軍人としての玄人ではない。玄人なら自軍を無用に無意味に殺傷されてしまうような戦争をするはずがない。ほとんどの高級軍人と同様、彼も単なる官僚だったと思います。戦況が最悪になって、もう師団長の天幕ぐらいしか残されていないという時に、この人は天幕のなかで頭をかかえて、「もう、こうなればどうしようもないな。しかし日本の兵隊さんは強いそうだから何とかやってくれるだろう」・・・・・。
 日本の兵隊さんは強いというのは、明治以来の小学校教育で教えられてきた思想ですね。小学校一年生から学芸会は戦争芝居でした、日本の兵隊さんは絶対に強いという。大久保利通の子の牧野伸顕の回顧談に、昭和初年、牧野があるイギリスの女流評論家と横浜で会食をしていて、「津々浦々の小学校でそういう奇妙な教育がおこなわれている。そういうなかから職業軍人が出てきて、もし政権をとれば必ず戦争を仕掛け、日本を亡ぼすでしょう」と忠告される。ノモンハンの戦場で天幕一つになってしまった小松原中将のつぶやきにはそういう背景がある。自軍のひきいている兵士は元亀・天正程度の装備しかさせていないのに、日本は世界一強い軍隊だと職業軍人までが思い込まされている。弱いとか強いとかいうことより、この程度のことが国民信仰になってきたことに気だるいおどろきを感じてしまう。

司馬 遼太郎 著
『戦争と国土』より抜粋



〜当事務所より一言〜

最近、学生の頃聴いていたCDをひっぱり出し通勤時に聴いています。十数年前の曲ですが、とても新鮮で自分が好きなアーティストだった為か「やっぱりいい!」って思ってしまいます。近頃は、「これ良い」と思いそのCDを購入(今ならダウンロードかもしれませんが)する事がなくなりました。これも年齢が増したからでしょうか。それとも・・・
最近、心に響く音楽に出会っていますか?

(中村)



〜新スタッフより一言〜

はじめまして。このたび新たにメンバーの一員に加わりました佐藤めぐみです。若輩ではありますが、あたたかく迎え入れてもらった当事務所で、一日も早く皆様のお役に立てるよう誠心誠意責務にあたる覚悟ですので、どうかご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

血液型:A型(事務所では珍しい)
 趣味:登山、読書
 好きな食べ物:チョコレート
 嫌いな食べ物:らっきょ(所長と同じ)