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平成16年10月号



市場事務所便り

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社会保険労務士 市場 敬將
 
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厚生年金保険の強制加入
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 すべての法人の事業所と、従業員5人以上の個人が営む事業所(一部業種を除く)には、厚生年金保険の加入義務があります。しかし、平成年度の調査では、新規法人約9万6,000のうち、18%にあたる約17,000が未加入でした。さらに、保険料負担を逃れようと、違法に脱退するケースもあります。そこで社会保険庁は、今秋より、従業員20人以上の事業所から強制加入の対象とする方針を決めました。これは、今年10月から厚生年金保険の保険料率が段階的に引き上げられるのを前に、保険料負担逃れを封じるのが狙いです。具体的には、まず、会社の登記簿や労働保険の加入リストと厚生年金の加入リストを突き合せて、厚生年金保険に未加入の事業所を洗い出します。それから、社会保険事務所の職員および社会保険労務士による巡回指導や、経営者の社会保険事務所への呼び出しにより加入を求めます。それでも年末までに加入しない20人以上の事業所には、個別 訪問するなどして強く指導します。これに応じない場合は、平成16年度内に強制加入に踏み切ります。


第3号被保険者問題

 
 1985年の公的年金改革により、国民年金と厚生年金保険の定額部分が一元化され、基礎年金が導入されました。皆年金制度が徹底され、自営業者を中心とする第1号被保険者、サラリーマン・公務員本人の第2号被保険者に加えて、第2号に扶養されている配偶者である第3号被保険者が生まれました。当初歓迎された第3号被保険者制度ですが、2つの大きな問題を生みました。第一に、第2号被保険者の配偶者が第3号とされるためには、収入が130万円未満である必要があり、結果 、多くのパートに就業調整の必要が生じたことです。第二に、負担をめぐる不公平感が、特に独身女性や共働き世帯から生じたことです(専業主婦、パートの主婦のために、高い保険料を押し付けられている、というものです)。

第一にあげた就業調整は、
(1) 配偶者控除などの税制に対する誤解に基づく103万円の壁
(2) 配偶者の勤める企業が支給する家族手当の支給要件が配偶者
  控除とリンクさせていることが多いこと
(3) 国民年金の保険料負担が生じる130万円の壁の上記3点に
  よるものです。

 税制改正により103万円の壁はすでに解消されているので、(1)の就業調整は税に対する誤解から生じたものにすぎません。ただ、国民年金保険料の130万円の壁は現存しているので、130万円以上で約150万円までの就業は選択しないほうが得をするという逆転現象は残っています。そのため、労働市場に対する次のような悪影響が指摘されています。

(1) パートの就業意欲を弱める。
(2) パートの賃金を抑制する。
(3) 社会保険料が節約できるため、正規従業員よりもパートの需要
  が増える。

 第3号被保険者を積極的に評価する声もありますが、働く女性のなかで強く支持されている考え方は、第3号被保険者制度を廃止し、専業主婦も国民年金保険料を負担すべきだというものです。こうした立場による感じ方・考え方の違いが、第3号被保険者問題に対する意見を左右しているようです。
 PS.
 第3号被保険者が誕生した経緯からして何か釈然としないものを感じていました…公務員の奥さんの救済策?  保険料未納と第3号は同じ結果をもたらす点をよく考えるべきで、早急に廃止すべきと考えます。


年金空洞化がもたらすもの
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 年金空洞化がもたらす問題として、主に以下の3点があります。
 まず、1点目は、未納者の老後の生活をどう保障するのか?ということです。年金の空洞化は、未納者・未加入者の老後生活に、深刻な生活不安をもたらすことが予想されます。年老いて働くことができなくなったとき、公的年金がなければ低所得となり、生活保護を受けざるを得なくなります。しかし、そうなると今度は生活保護制度を維持することが困難になり、当制度の改革の必要性が生じることになります。
 2点目は、賦課方式を採用している年金財政に大きな影響を与えることです。空洞化が保険料の急上昇につながり、それが年金財政破綻に直結するほど単純ではありませんが、若い世代に未納者・未加入者が急増すれば、世代間移転に依存する年金財政が不安定になることは確かです。また、徴収されない部分は、実際に保険料を支払っている被保険者が負担することになります。つまり、事業所で保険料を納付することになっているサラリーマンに負担が集中することになるのです。
 3点目は、年金空洞化は地域経済へも大きなインパクトを与えることです。北陸・山陰・四国の一部では、県民所得に対する公的年金受給額の比率がすでに10%を超えており、2030年ごろには20%を超えるところが多くなると見られており、これが年金空洞化が進むことで、年金収入のない世帯が増加して生活保護を受けるようになると、地域経済・地方財政に大打撃を与えることになると考えられます。
 PS.
 一刻も早く、政・官の側が血を流し、根本的な年金改革を行い、国民が年金を信頼できる制度を構築しないと大変なことになると思います。執行者(政・官)が変わることが一番だと思うのですが…


ラドクリフの棄権
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 今年のアテネ・オリンピックのハイライトのひとつに、女子マラソンの野口選手の優勝があります。
  野口選手のがんばりに祝辞を送ると同時に、女子マラソンの驚異的な世界記録を持つラドクリフ(英国)の36キロ時点での棄権も、人生や経営に関して多くのことを考えさせてくれます。いつも本命でいて注目されていることの負担、高速ランナーが猛暑の大会では結果 を残せていないという経営環境ヘの適応の困難さ、結果を出し続けることによる慣れや成功体験が生む過信などなど。しかし、最も恐ろしいのは棄権は癖になることです。負け癖がつくことです。自分を否定する癖は、自己イメージや自尊心を低くさせます。成功や自己実現に対する恐れが生じて、失敗や失意こそ自分にはふさわしいと思えてきます。不幸が居心地良くなるのです。マラソンで一度棄権をした肉体の防衛本能は、ここ一番という時ほど眼を覚ます可能性が高くなるのです。ネガティブな態度は、私たちから可能性を永遠に奪ってしまいます。
  サーカスの象は、小さい頃に一度ロープにつながれ、そこから逃げられない経験をすると、大きくなってもそのロープから逃れられないと思い込んでしまうそうです。大きくなって、本当は簡単に逃れられる力がついても、象は無理だと思ってじっとしているそうです。ラドクリフの棄権が、彼女をサーカスの象に変えるかどうかはわかりません。しかし、私たちの内なるサーカスの象に気づいている人は少ないと思います。


〜当事務所より一言〜

 
 今月は社会保険等級の更新月です。算定後の等級になりますので今月(10月)支給の給与から保険料が変更になります。各人の保険料額は当事務所からご案内致します。また、来月(11月)支給の給与から厚生年金保険料額が変更になります。(保険料率の引き上げのため)こちらも給与締め日に合わせてご連絡致します。
 算定後の保険料変更、厚生年金保険料の変更と面倒な事務処理が続き、分かりづらい点もあるかと思います。当事務所からもできるだけ分かりやすく、スムーズに処理ができるようご連絡したいと思いますが、何か不明な点がございましたらその都度お問い合わせ頂きたいと思います。  (池亀)
 
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