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平成16年11月号



市場事務所便り

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社会保険労務士 市場 敬將
 
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悪用される全喪届

 健康保険・厚生年金保険の適用事業所全喪届を、所轄の社会保険事務所に届け出れば、その事業所は適用事業所から除外されます。つまり、健康保険・厚生年金保険の適用を受けなくなるわけです。
 この全喪届には、下記の添付書類が必要です。

《全喪届の添付書類》
 (1)雇用保険適用事業所廃止届事業主控の写
  (公共職業安定所発行のもの)
 (2)解散登記の記載がある登記簿謄本の写
  (地方法務局発行のもの)
 (3)合併、解散、休業等異動事項の記載がある法人税・
   消費税異動届の写または給与支払事務所等の廃止届
   の写(所轄税務署押印のもの)
 (4)休業等の確認ができる情報誌、新聞等の写
 (5)事業廃止等を議決した取締役会議事録の写
 (6)その他適用事業所に該当しなくなったことを確認できる書類

 全喪届を提出して、社会保険から脱退すれば、社会保険料を支払わなくて済みます。経費削減のために、実際は解散や廃業ではなくても、とりあえず休業として全喪届を提出する事業所が多いという実態が、会計検査院の調査により指摘されました。
  これを受けて、全喪の原因が休業である場合には、再開予定日等を記載するよう社会保険庁通 達により求められることとなりました。
  事業主の都合や意向のみで全喪(脱退)処理を行うことは許されません。しかし、解散登記をしない企業も多く、偽装脱退の抜け道も残っていました。東京都新宿社会保険事務所では、年金脱退のひな型を提供し、偽装脱退を幇助していたことが明らかになっています。こういった実態を踏まえ、社会保険庁は、今年に入って受理した脱退届約4万件を調べ直すとしています。


NEET
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 失業者の条件は、次の3つです。

(1)仕事がなくて、調査期間中の月末1週間に少しも仕事をしなかった
(2)仕事があればすぐ就くことができる
(3)調査期間中、仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた

 これらから、俗にNEETと呼ばれる人々は失業者でさえないと言えます。NEET(ニート)とは、職に就こうとしない、学校にも通っていない、仕事に就くための専門的な訓練も受けていない若者のことを指します。
 今日本には、25歳未満の若者が1,500万人います。この内、就業者が573万人、失業者が72万人、学生が750万人、浪人生が約14万人いると見られています。残りの89万人は、仕事を探しているわけでもなく、かといって学校に通 っているわけでも、進学しようとしているわけでもありません。この89万人の内、少なくとも40万人が、ニートと呼ばれる若者です。
 ニートは、やりがいと自己実現のできる仕事が見つからないため、あるいは人間関係を築くことが困難なために、社会人の入口で立ち尽くしているのです。
 ニートの日常の多くは、昼過ぎまで寝て、日中はぼんやりとテレビを観たり、時には夜中までブラブラしたりしています。教育・訓練への不参加のため、将来的には就業の見込みが限りなく低く、失業者や慢性的な生活保護の対象になる可能性が極めて高いと指摘されています。
 ニート増加の背景として、労働市場問題、教育問題、家庭問題の3つが挙げられています。最も有力な仮説が家庭問題で、これは家庭内の不和、兄弟姉妹の減少、地域交流の乏しさなどが、人間関係を築けない若者を育ててしまったというものです。学ぶことから外れてしまった若者たちは、いずれ職業社会から強烈な拒否宣言を受けます。自己の存在そのものを否定されたニートたちが、将来社会の不安定要因になることだけは間違いがないでしょう。


個人業務委託
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 昨年秋、独立行政法人労働政策研究・研修機構は、3年半の研究プロジェクト「多様な働き方を可能とする就業環境およびセーフティ・ネットに関する研究」を立ち上げました。そして今年9月には「就業形態の多様化と社会労働政策―個人業務委託とNPOを中心として―」が、インターネット上で発表されました。
 この研究は、働き方の多様化が進展し、雇用か自営か不明瞭な働き方が増加しているという認識から始まったものです。自主性の高い働き方をしたい個人、人件費・福利厚生費負担を軽減したい企業、それぞれのニーズからこのような働き方は今後も増加していくものと予測されます。
 研究発表では、中間領域の多様な働き方に対して、雇用と自営の連続性に配慮した政策展開が必要であり、これまでの雇用労働者を中心とした労働法をどう見直すかが大きな課題になりつつあると考えられています。
 そして、今までの労働法が雇用労働者を念頭に置いたもので、就業形態多様化時代の今には適合していない部分が多々あることを認めたうえで、奨励的側面 、保護的側面、公正競争の側面等を総合的に考えていく必要性を強調しています。
 業務委託契約従事者をめぐる雇用・就業形態は、雇用契約と自営を対極に、間に中間領域1、中間領域2を置いて分類されています。
 雇用契約は、典型雇用と非典型雇用に分かれ、典型雇用は、フルタイム正規労働者を指します。一方、非典型雇用は、日雇い労働者、短時間正社員、パートタイマー、契約社員、派遣労働者(登録・乗用)、構内請負企業の就労者およびフリーターを指します。
 中間領域1は、自営的雇用です。これには、タクシー運転手・保険外務員等の最低補償額が低い歩合給労働者、裁量 労働等時間管理の緩やかな労働者、雇用型テレワーカー、マルチプルジョブホルダーが属します。
 中間領域2は、雇用的自営です。これには、偽装自営や家族従業員・家内労働者のほか、分類困難な就業形態である経済的従属ワーカーが属します。
 経済的従属ワーカーには、フランチャイズオーナー、プロスポーツ選手、芸能人、出版、広告、マスコミ、ソフトウェア、ゲーム業界、各種代理人・専門家、自営型テレワーカー、建設・運輸業従事者が含まれています。
 自営には、人を雇っている経営者、独立契約者(インディペンデント・コントラクター)、従来型の自営業者が含まれます。
 業務委託契約従事者では、仮装自営業者が含まれていないか、純然たる自営業者である業務委託契約においても、何らかの労働法的保護ニーズがあるかどうかを検討する必要があることを、当報告では提言しています。


不平不満を言わない

 「人はみな等しく、平等である」
 この命題は、法の建前論や人道的見地からすれば正しいかもしれないが、実際のところ誤りであるといえよう。残念なことに、人は生まれたときから、いやもっと前の受胎のときから不平等なのである。
 それは、両親の社会的地位や、貧富の差、嫡出子か非嫡出子か、母体が健康体であるか病弱か、こういった子供を取り巻く環境をはじめとして、子の意思とは関係のないところで決められる。芥川龍之介の小説『河童』のように、子が自身で誕生を選択することができれば話は別 だが、私たち人間社会は本人に責めがないところで出自の環境は決定づけられるのである。
 人は生まれたときからこんな具合だから、その後の人生においても不平等であることはいうまでもない。
 だからといって不平不満ばかりいったのでは何の解決にもならないだろう。世の中には自分の力ではなかなか思い通 りにならないことがあるのが常である。そのつど、自分以外の誰かのせいにして恨んでみたところで、そこから先何も生まれやしない。むしろ自分の不運を哀れめば哀れむほど、不幸のどん底へ加速して転落していくようなものだ。
 ここで大切なことは、世の中には不平等なことが数多く存在する事実を正しく認識すること。そして、勇気を持ってその事実と対峙することだ。
 不平等が常と思えば、不平不満など出るはずがない。不平不満のかわりに出すべきものは、どうすれば現況を打破できるのかの代替案である。
 さて、平等に関して社会に望むべきことは、機会の平等を保障することであり、必ずしも結果 の平等を与えることではない。なぜなら前者は人々に能力を発揮するためのチャンスを与えるが、後者はやってもやらなくても同じ結果 を保障するため、人々の勤労意欲を削ぐことにつながりかねないからだ。努力に見合った結果 の不平等は、何人も甘受すべきなのである。
 完全な平等社会など、世界のどこを見渡してもありえない。それは、社会主義体制の崩壊という形で歴史が明確に証明している。

                イラスト04  【負けず嫌いの哲学より】


〜当事務所より一言〜

 
 今月(11月)支給分の給与より厚生年金保険料率が変更になります。変更手続きはお済みでしょうか? ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。
 今年も残すところあと一月半となりました。これから師も走るほど忙しい時期になります。皆様も今のうちから体調には充分お気を付け下さい。
 
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