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平成16年12月号



市場事務所便り

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社会保険労務士 市場 敬將
 
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労働形態の多様化

 雇用形態の多様化が進んでいます。
 労働経済白書2003年版によると、雇用者が84.4%、非雇用者が15.4%となっており、これはつまり就業者6人に1人が非雇用者ということです。また、雇用者の内訳をみると、正規雇用61.5%、非正規雇用23.0%となっており、雇用者においても4人に1人は非雇用者ということになります。もはや正規雇用者は、就業者の6割強しかいないということです。
 2002年に発表された「雇用問題に関する政労使合意」においても、就労形態の多様化の重要性が指摘されています。多様な働き方を推進するために、日本経済団体連合会は労働市場の規制改革を求めています。
  労働基準法では、有期労働契約の上限が見直され、解雇にかかる規定が整備され、裁量 労働制にかかる要件が簡素化されました。また、労働者派遣法では、派遣期間の制限が延長され、製造現場への派遣が解禁されました。
さらに、職業安定法においても、職業紹介事業の許可が事業所単位 から事業主単位になり、取扱い職種の範囲その他業務の範囲についても、厚生労働大臣への届出で足りることとなりました。
  経済界は、今後の規制改革として、裁量労働制の一層の要件緩和と、アメリカのホワイトカラー・イグゼンプション制度の採用とを求めています。
  ホワイトカラー・イグゼンプション制度とは、一定の労働者には労働時間規制の適用を除外する制度です。この制度では、ホワイトカラーが高い付加価値を実現するために、新しい発想に基づく柔軟性の高い時間管理の枠組みが必要である、としています。


雇用対策の転換

 厚生労働省は、来年度より雇用対策の主眼を、求人開拓から求職者の職選び支援にシフトさせます。これは景気回復に伴い企業からの求人が増えているからです。
  職選びの支援として、全国の公共職業安定所に仕事選びを支援する適職選択指導員500人を新たに配置し、遠隔地には地域職業相談室(仮称)を設け、就職適性診断システムなども実施します。同時に、これまで求人開拓を担当していた非常勤職員1,000人を半減させます。
  適職選択指導員は、前職にこだわる求職者に、就職しやすい仕事を紹介します。
  また、来年度から、現在はバラバラの助成金の申請手続なども1カ所で済むようにし、県庁所在地などにある公共職業安定所約50カ所に、雇用に関するすべての相談に応じるワンストップ窓口が設置されます。そこには専門相談員が2人ずつ配置され、国だけでなく自治体や独立行政法人の助成金情報も提供される予定です。
  また、すでに今年度から実施されている職業能力向上策として、日本版デュアルシステムがあります。これは、学校での職業訓練と企業実習を一体化したもので、思い込みや情報不足で就職できない人に対する支援策です。
  専修学校などでの能力訓練やトライアル雇用も充実させ、地域の雇用創出として、市町村選択の重点分野への創業支援や、市町村提案の雇用創造効果 の高い事業への支援を行う予定です。


送検された墜落事故

 木造住宅改修工事現場で、工事に携わっていた作業員が、2階屋根上の瓦・野地板の取り外し作業を行っていたところ、誤ってはしごの上部から約2.7メートル下の2階バルコニーに墜落し、死亡するという災害が発生しました。
 災害の原因としては、安全帯を使用させるなどの墜落防止措置を講じていなかったことが大きく、また、作業中に保護帽を着用していれば、災害は最小限に押さえられたと考えられています。死亡した作業員は、経験年数37年のベテラン大工でした。
 労働基準監督官は、たとえ簡単な作業でも安全帯を使用し、たとえ暑くても保護帽を着用すべきだと指摘しています。
 労働安全衛生法令では、事業者が囲い等を設けることが困難なときは、防網を張り、労働者に安全帯を使用させるなど、墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならないとしています。しかし、この会社では、違法性を認識しながら、日常的に安全帯の使用は指示していなかったのです。
 所轄労働基準監督署は、この災害を、安全帯を使用するなどの墜落防止措置を講じていれば屋根から墜落するのを免れることは可能だったと判断し、この会社の社長を、労働安全衛生法第21条第2項および労働安全衛生規則第519条第2項違反の容疑で書類送検しました。
 労働基準監督官が行った定期監督では、従来から建設業種の現場では違反が多いと指摘されています。建設業種全体で、違反件数全体の3分の1を占めているのです。使用停止命令等の実施に関しても、全体の半分を建築工事業が占め、さらに、送検された事件の6割強は建設業というのが実態です。
 安全管理体制は、指導し続けること、基本を守り続けることが大切です。ベテランの油断と軽度の安全措置を怠ることほど怖いものはないのです。

オーケストラの年収
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 日本音楽家ユニオン・オーケストラ協議会の2003年調べによると、全国の主なオーケストラの40歳楽団員の標準年収は、400万円から600万円だといいます。最も恵まれているとされるNHK交響楽団で1,000万円弱、日本フィルハーモニー交響楽団や東京フィルハーモニー交響楽団では400万円強です。
 東京都の外郭団体である財団法人東京都交響楽団で昨年、都の財政再建の一環として、賃金・人事制度の見直しが提議されました(都響の40歳の楽員の標準年収は、700万円)。
 見直しの内容は、次のとおりです。

(1)自主運営楽団に比べ、人件費が高いこと
(2)終身雇用制を2年ごとの期間契約制に改めること
(3)力量の査定を厳格に行うこと

 これらに対する問題点は、次のとおりです。

(1)楽員の給与は一般サラリーマンに比べ高いのか安いのか
(2)契約更改の前提になる技能の査定に合理的基準を設定できるの
  か

 腕次第で他の演奏会への出演や個人レッスン等で稼げるとはいえ、高価な楽器の購入や海外への留学費用の工面 等を考えると、日本の楽団員の給与は決して高いとは言えません。
 欧米でも、有史以来、オーケストラが経済的に自立した例はありません。常に教会や王侯貴族がスポンサーとしてオーケストラを支えてきたのです。
 しかし、都響の見直しにも現れているように、今やオーケストラにさえ、一定の効率や採算性が世界的に求められるようになっています。
 楽員の人事考課も、指揮者か楽員相互の判定が主流だったものが、経営サイドによる査定に変わりつつあるのです。
 管弦楽の音色がホールを満たす快感は何物にも代え難いものです。ぜひ、早期の解決が計ってもらいたいものです。

今月のことば

 
・「行動」とは、必ず立場の変更を伴うものである。きのうの立場が、今日の行動によって崩れ、明日の新しい立場をつくるのである。そして「立場」とは、自己の立脚する基盤に他ならない。それは具体的には、組織や人間関係である。既成の組織や人間関係との深刻な摩擦や抗争を伴わない「和気あいあいとした行動」などはあり得ないのである。もしあるとしたら、それは犬が寝たり起きたりすることと同様の“物理的行動”なのである。

・私は母を無上の誇りとしていた。誇るべきものを他に持たない私にとっては唯一の誇らしいものであった。母に学んだ最大のこと、それは徹底した無学だけが最高の学識をしのぐことができる、ということである。すでに広く浅く生きざるをえなくなっている私にとっては、狭く深く生きた母の生涯は衝撃そのものである。自然で平坦な小径を確固として進む―疑いなく最高の生涯であろう。

                         『寸話寸評・第一集』


〜当事務所より一言〜

  賞与の保険料について
 平成16年10月より厚生年金保険料率が変更になっています。12月賞与の保険料率は、健康保険41/1000(40歳以上65歳未満46.55/1000)・厚生年金69.67/1000です、ご確認をお願いします。ご不明な点は当所までご連絡下さい。

 本年もお世話になりました
 早いもので、今年のカレンダーも残り1枚となってしまいました。今年も皆様には大変お世話になりありがとうございました。  (市場敏江)

 当事務所便りを毎号御愛読下さり有難う御座います。今までの便りの中で問い合わせの多かった、私が心に留まった本からの抜粋を今月号より『今月のことば』としてコーナー化しました。私の趣向を色濃く反映したコーナーになりますが、宜しくお願い致します。
 また、皆様方には年末に向けてお体に留意され、よいお年をお迎え下さい。本年も有難う御座いました。             (市場敬將)

 
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