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平成17年2月号



市場事務所便り

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社会保険労務士 市場 敬將
 
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年棒制について

 成果・業績主義の浸透とともに年俸制を導入する企業が年々増えていますが、一部では、“年俸制を導入すれば時間外手当、深夜手当などの割増賃金を支払わなくてもよい”という誤った認識を持った経営者の方もいるようです。

◆年俸制とは
 年俸制の特徴として、以下の点があげられます。
 ・賃金額を年単位で決定すること
 ・その額を成果・業績を主たる基準として決定すること

◆割増賃金の支払い
 労働基準法上、時間外労働や休日労働にはその量に応じた割増賃金を支払うべきものとされています。
 管理監督者などの適用除外者や、実労働時間ではなくみなし労働時間によって労働時間を算定する裁量労働制の適用者については、実際の労働時間数にかかわらず賃金が支払われることとなるため、実労働時間数によらない成果給としての年俸制を導入することが可能です。
 しかし、それ以外の一般労働者に対しては、年俸制を適用する場合であっても、事業主が労働時間管理を行い、時間外・休日労働に対する割増賃金を支払わなければならないで、注意が必要です。

◆公正な評価制度
 年俸制では、具体的な賃金額の決定が労働者の成果や業績の評価に大きく依存するため、その評価が公正に行われるかどうかが重要となります。明確で具体的な目標が設定されているか、目標達成評価の基準が開示され、恣意的でない評価が行われているか、評価理由の説明や苦情処理など労働者の納得を得るための手続きは整っているか、などの点が年俸制導入を成功させるカギとなります。


成績不良と解雇
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 昨年の1月に労働基準法が改正され、就業規則に解雇の具体的な事由を記載することが義務づけられましたが、あいかわらず解雇を巡るトラブルは後を絶ちません。
 昨年の解雇に関する改正点は、(1)就業規則への解雇事由の記載の義務付け、(2)労働契約時における解雇の事由の明示、(3)解雇時における解雇理由の明示、です 。
 上記の点について現行の就業規則が要件を満たしていない場合は、これを適切に改定し、労働基準監督署に届け出る必要があります。なお、懲戒解雇事由だけでなく、普通解雇事由についても具体的に列挙されていることが必要です。

◆勤務成績不良が解雇事由として認められるには
 営業成績等が悪いなど、成果・業績主義のもと勤務成績不良による解雇も増えてきています。
 労働者に問題がある場合には、遅刻・欠勤が多い、作業ミスが多い、作業能率が悪い、作業速度が遅い、営業成績が悪い、上位の命令に従わないなど、その内容は多様であり、解雇を行う場合には、通常、複数の事実が主張されます。
 しかし、裁判で争われる場合においては、主張された事由の存否を一つひとつ確認し、その中に解雇の有効性を決定的に根拠づけるものがあれば、それにより解雇を有効と判断し、他方、決定的な事由がない場合には、全体を総合評価して解雇の有効性を判断されることとなります。
 就業規則で勤務成績不良が解雇事由として記載されている場合であっても、裁判所がその労働者を勤務成績不良と認めるかどうかは、以下の3点について判断されます。

(1)使用者は、成績不良があってもまず指揮命令権を行使して、
  これが是正されるように指導しなければならない
(2)改善が期待できない状態でなければ解雇できない
(3)成績不良がその労働者を企業から排除しなければ秩序維持が
  できなくなる程度でなければ解雇できない

 この改正により解雇のハードルは高くなり、解雇することが難しくなったと感じている経営者の方も多いでしょう。しかし、社員にとっては、解雇されれば生活の基盤を失うことになるため、慎重に取り組む必要があるのです。
 いざ、裁判所での争いとなれば、何よりも証拠が重要となります。勤務成績不良と考えられるとしても、上記の3点において裁判所に提示できるだけの証拠が求められますので、勤務成績不良の社員に対し、会社として、成績向上のための指導や解雇を回避する為の努力をしたという記録をしっかりと残しておくことがポイントとなります。

65歳までの雇用確保が義務づけられます
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 昨年6月に高年齢者雇用安定法が改正され、厚生年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられたことに合わせて、雇用と年金の間に収入の空白期間が生じないよう、定年の引き上げや継続雇用制度の導入により、65歳までの雇用確保が企業に義務づけられることになりました。この改正法は平成18年4月1日より施行されるため、現在50歳代の社員を雇用している企業は、早急に対策をとる必要があります。

◆改正高年齢者雇用安定法の概要
【1】高齢者の雇用確保については、以下の(1)〜(3)のいずれかの措置をとる義務があります。
 (1)65歳までの定年の引き上げ
 (2)継続雇用制度の導入
 (3)定年制の廃止
【2】高年齢者等の再就職の促進
 (1)募集および採用についての理由の提示
 (2)求職活動支援書の作成
 (3)シルバー人材センター等の業務の特例

◆定年の段階的引き上げ
 概要の【1】の(1)定年の引き上げ、(2)継続雇用制度の導入にかかる年齢については、企業の負担を抑える意味で、以下のように段階的に引き上げられます。

期 間
定年年齢
平成18年4月〜平成19年3月
62歳以上
平成19年4月〜平成22年3月
63歳以上
平成22年4月〜平成25年3月
64歳以上
平成25年4月〜
65歳以上

◆65歳までの雇用確保の検討
 概要の【1】の(1)〜(3)のうち、どの措置をとればいいのかについては、 各企業や社員の規模、雇用している高年齢の社員の人数によっても変わってきます。(1)や(3)については就業規則で定めることができますが、それまでの雇用契約が継続することになるため、賃金などの労働条件の変更が難しくなります。また、(2)については60歳定年を残すことが可能で、対象者の基準を労使協定で合意するため、臨機応変に労働条件を見直すことができます。

給与計算の変更点
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 給与計算実務の最近の変更点について、簡単にまとめてみました。
 まず、所得税の老年者控除が、昨年12月をもって廃止されました。源泉徴収税額表甲欄を適用する際の扶養親族等の数について、今年1月以降は、「老年者に該当する場合の1人加算」の適用はなくなります。また、2005年分の年末調整においては、老年者控除は適用されません。
 次に、毎年3月分(控除するのは4月分の給与)から、介護保険料率が改定されています。介護保険の第2号被保険者である年齢40歳以上64歳以下の医療保険加入者の保険料率が変更になります。
 4月には、雇用保険料率の引き上げと雇用保険の一般保険料額表(経過措置)の廃止がなされます。「一般の事業」が1000分の7から1000分の8へ、「農林水産業・清酒製造業」「建設業」が1000分の8から1000分の9へ引き上げられます。
 また、3月31日までは経過措置として「雇用保険の一般保険料額表」を用いて計算できますが、4月1日以降は賃金額に保険料率を乗じて計算する原則的な方法によることになります。
 さらに、4月以降には、育児休業中の社会保険料免除の改正もあります。従来は育児休業を申請した月から免除されていたものが、育児休業開始月からの免除となります。対象は、これまでの「1歳未満の子」から「3歳未満の子」を養育する被保険者へと拡充されます。
 2005年9月分(控除するのは10月分の給与)からは、厚生年金保険料率が1000分の142.88となります。保険料負担の増加が続きますが、誤りや不正のないようにしたいものです。


今月のことば

 
 日本は、国際社会のなかで、つまり明治以後、よくここまでやってきたとは思います。太平洋戦争のような大変な失敗があり、アジアの諸国にずいぶん迷惑をかけ、後々まで、ものを考える日本人は少しずつ引け目を持って生きていかなければならなくなった。
 それだけのことをやってしまったわけです。しかし、それもこれも入れて、なんとかやってきたとは言えそうです。
 これからの世界の人間としてわれわれがつき合ってもらえるようになっていくには、まず真心ですね。
 真心は日本人が大好きな言葉ですが、その真心を世界の人間に対して持たなければいけない。そして自分自身に対して持たなければいけない。
 相手の国の文化なり、歴史なりをよく知って、相手の痛みをその国で生まれたかのごとくに感じることが大事ですね。
 いろいろな事情から、国家行動とか民族的な行動が出てくるものなのだと、社会の現象もでてくるものなのだと、いろいろ事情を自分の身につまされて感じる神経ですね。そういう神経を持ったひとびとが、たくさん日本人のなかに出てくることによってしか、日本は生きていけないのではないか。

                    司馬遼太郎 『昭和という国家』
                     自己解剖の勇気より一部抜粋


〜当事務所より一言〜
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 皆さんは『CUBIC』をご存じでしょうか?採用の際、また現在いる社員さんの個人の特性分析ができるシステムです。分析内容は、「どういう性格、パーソナリティか」、「どういう関心事・興味領域をもっているか」、「基礎的な職場場面での社会性」、「どういうことに意欲・やる気をだすか」といったことがあります。分析結果は、表と文章、親しみやすい顔の表情の変化によって表現されています。
 採用の際の判断基準の一つとしていかがでしょうか?また、現在いる社員さんの分析結果は社内での順位を表すこともできます。同じ質問を質問内容を変えて何度もすることにより、意図的に答えられなくしています。意図的に答えているかは信頼係数で判断できるようになっています。一度試してみたいと興味を示された方は当所にご連絡下さい。
                             (春原)