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平成17年3月号  



市場事務所便り

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社会保険労務士 市場 敬將
 
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2007年問題

 「2007年問題」とは、日本の経済成長を支えてきた団塊世代が定年退職を迎えることで、人材・オフィス・税収・退職金支払・消費など日本経済に様々な形で大きな影響を与えるとされている問題のことです。その中でも特に、近年の不況で新規採用を抑えるなどして行ってきた雇用調整により、技術やノウハウを継承すべき人材が育っていないという点について、経済産業省も対策を検討しています。

◆団塊世代とは
 厳密には1947年から1949年の3年間に生まれた人たちのことを指します。国勢調査では、この3年間に生まれた人たちだけで600万人を超え、全人口の5.4%を占めています。財務省の報告によると、団塊世代を含む1945年から1950年生まれが定年により順次退職した場合、2010年に最大110万人の労働力人口が失われ、実質(国内総生産)で最大16兆円のマイナスになるとしています。

◆「人材投資促進税制」が導入
 団塊世代の定年退職による人材の激減は、雇用の需給バランスを一転させます。それに今後一段と進む少子化も含めて、社員の確保そのものに加え、いかに優秀な人材に育て上げるかが2007年以降の重要な課題となります。
 そこで、人材の確保・育成を図り、人材の国際競争力をつけるための対策として、2005年度より「人材投資促進税制」が導入されることになりました。

◆「人材投資促進税制」とは
 2005年度から3年間の時限措置として導入されるもので、企業が社員の研修に要した費用の一部を法人税から控除するというものです。
 具体的には、05年度の教育訓練費が過去2年間の平均教育訓練費を超えた場合に、その25%(法人税の10%が上限)が法人税額より控除されることになるもので、中小企業には別途、特例制度が設けられています。
 教育訓練費として対象となるものは、講師・指導員等の経費、教材費、外部施設使用料、研修参加費、研修委託費などです。社員の教育・育成を行いながら、法人税が控除されることにより、結果的には増加した教育訓練費より控除額の方が上回ることも可能となります。
 企業としては、2007年問題を視野に入れ、人材投資促進税制を有効に活用して、若手社員の育成、熟練従業員による技術・知識のマニュアル化、中途社員の即戦力化に向けた取り組み等をこの機会に行い、各人材に対して各々の仕事の効率を高めさせる必要があると思われます。

P.S 2008年問題
 全く別の角度から「2008年問題」があります。この年、国債の償還が140兆円発生します。この年以降100兆円前後の償還が連続し、国の根幹をゆるがす大問題となるでしょう。
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ストックオプションの利益は給与所得

 ストックオプション(自社株購入権)で得た利益が「一時所得」か、税額がほぼ倍になる「給与所得」に当たるかが争われた訴訟の最高裁判決が先月下されました。
 最高裁では「給与所得に当たる」との初判断を示し、納税者側の上告を棄却しました。ストックオプションを巡る同種の訴訟は約100件あり、労務の対価として所得税法上の「給与所得」に当たるか否か、地裁レベルでは判断が分かれていました。
 今回の最高裁判決で、司法の判断として「給与所得」として決着したことになります。

◆ストックオプションとは
 ストックオプションとは、一定の業績が上がったときなどに、企業が取締役や社員に一定の価格で自社株を購入する権利を与えておき、取締役や従業員が一定期間内にその権利を行使し(企業から株式を購入する)、株価が値上がりしたときに差益を得ることができるという制度です。平成9年の商法改正により、広く、一般企業においても適用することができるようになりました。

◆ストックオプションのメリット
 企業業績が向上し、株価が上昇すれば、その分がストックオプション対象者のインセンティブとなるため、業績に対する意識が高まり、勤労意欲の向上を促進することができます。

◆労働基準法の解釈は
 「ストックオプション制度から得られる利益は、それが発生する時期および額ともに労働者の判断に委ねられているため、労働の対償ではなく、労働基準法第11条の賃金には当たらない」とされています。そのため、ストックオプションを賃金の一部として扱うことは労働基準法違反となります。あくまで賃金や賞与等とは別のものとしておく必要があります。
 しかし、労働の対償としての賃金には当たりませんが、「労働者に付与されるストックオプションは、労働条件の一部である」ともされているため、ストックオプション制度を導入する際には就業規則に定めておかなければなりません。

◆この判決の影響
 労働基準法の解釈としては、上記のように「労働の対償としての賃金には当たらない」とされていたため、ストックオプションによる利益に対しては労働保険、社会保険ともにかからないという扱いでした。しかし、今回の判決で「給与所得」となった以上は、所得税法上の区分だけの問題ではなく、保険料の算定についても今後影響が出てくる可能性もあります。


平成17年4月より雇用保険率が変わります
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 雇用保険率が平成17年4月1日より「1000分の2」引き上げられます。
同時に、今まで使用されていた「一般保険料額表」が廃止されることになります。毎月の給与計算等で「一般保険料額表」を使用されていた事業場は、平成17年4月以降は、それぞれ被保険者の方の賃金総額に雇用保険の被保険者負担率を乗じて計算した額を控除することになりますので、ご注意ください。

【平成年4月以降の雇用保険率】
事業区分
一般事業
建設の事業
農林・水産・清酒製造の事業
 
雇用保険料率
事業主負担
11.5/1000
13.5/1000
12.5/1000
被保険者負担
8.0/1000
9.0/1000
9.0/1000
19.5/1000
22.5/1000
21.5/1000

◆雇用保険料の納付方法
 雇用保険の保険料は、労災保険と合わせて労働保険料として年に一度年度更新を行い、毎年4月1日から5月20日までに1年分を納付することになります。労働保険事務組合に委託している場合や、一定の額を超えた場合には分割して納付することもできます。

◆原則として、代表者や取締役は加入できません。
 法人の代表者や取締役は原則として雇用保険に加入できません。ただし、取締役であっても、同時に部長や工場長など労働者としての役割が強く、雇用関係が認められる場合に加入できることもあります。
 また、労災保険についても中小企業の事業主等は特別加入できる場合があります。

◆高年齢者保険料免除とは
 4月1日において満64歳以上の労働者については、一般保険料のうち雇用保険に相当する保険料が事業主負担、被保険者負担ともに免除されます。
4月1日には社員の年齢を確認し、対象者が在籍している場合には、雇用保険分は控除しないようにしなければなりません。

賃金体系の変遷

 戦後日本の賃金体系は、年功制から職能資格制度、そして成果主義制度へと変容してきました。
 年功制とは、年齢や勤続年数の増加とともに賃金が増加する制度です。
1946年に日本電気産業労働組合が獲得した電産型賃金体系がその代表であり、給与の大部分を仕事の能力とは関係のない生活保障給と勤続給が占めていました。
 職能資格制度とは、職務を遂行する能力を基準に賃金を決める制度です。新入社員から部課長までどのような職務遂行能力が求められているかという職務資格基準を段階的に定義していくものです。この職務資格基準が定める社内資格に基づく賃金が職能給です。
 バブル崩壊期までは会社も労働者も結果の平等をより尊重したため、職能資格制度も年功的に運用されました。その結果、職能資格制度は実態としてはほとんど機能しませんでした。職能資格基準が年功の代理指標となり、職能給といってもその実態は年功型賃金と変わりませんでした。
 第二次世界大戦の敗戦からバブル崩壊までの実に半世紀以上もの間、日本の会社と労働者は年功的賃金制度に慣れ親しんできたのです。
日本の文化的背景や社内慣行や制度を考慮すると、完璧な成果型賃金制度がいきなり機能すると考えること自体に無理があるのではないでしょうか。成果型賃金制度でも、試行錯誤と一進一退を許容すべきで、昨今の成果主義賃金バッシングは明らかに行き過ぎのように思われます。(対策もなく、現状維持では企業が苦しむだけ…)
 また、定期昇給は、この年功的に運用された職能資格制度で作成される賃金表(賃金表とは、横軸に級が、縦軸に号俸がある号俸表)において実施されるもので、人事考課があるため上がり方に各自違いはありますが、勤続年数・年齢が上がれば自動的に賃金も上がることになります。職能資格制度を維持している限り、世界的に突出した日本のサラリーマンの賃金を抑制することはできないのです。
 予想可能な賃金上昇を伴う安定雇用が可能であった時代が終りを告げた今、定期昇給制度の廃止・縮小が経営課題となっているのは確かでしょう。


今月のことば
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 中国人は世界のどこのはしにいても自分が中国人であることに自信をもっていますね。気負いたつことなく単独で平然としてもっている。英国人なども、単独にどの土地に住んでいても、よかれあしかれ、英国という人間文化のすべてを背負って平然としていますね。それが人間としての威厳になるのでしょう。
 戦前の日本人は国家を気負いすぎてきた。世界のどこにいても大日本帝国を背負いこむときにやっと自分の尊厳が保てた。それはおかしいわけで、そういう軍艦や大砲がなくても一私人として毅然たるものが日本人になければいけませんですね。それがおっしゃるような自信でしょうね。
 「日本国はエライ」とそういうことで出来る自信じゃなくて、自分の民族と文化についての正しい認識から生まれた毅然としたものが、日本人になければならない。でなければ薄よごれたポンチ絵のような日本人像からぬけだせませんですね。

                    対談 海音寺潮五郎・司馬遼太郎
                     『日本歴史を点検する』より


〜当事務所より一言〜

 寒さの中にも暖かさを感じ、春の訪れが感じられる季節になりました。皆様方の体調はいかがでしょうか。今年もインフルエンザや風邪等流行る中、我が家の長女は小学校に休むことなく通っております。体調を崩すことなく過ごせた理由の1つとして、手洗い、うがいをよくしていたことがあげられます。
 ちょっとしたことですが、継続していく事の大切さを感じ、この時期をのりきれたらと思いました。

 平成17年3月分から、介護保険料率が改定されています。(控除されるのは4月分の給与からとなります。)対象は40歳以上65歳未満の方となり、保険料率は、健康保険+介護保険料で47.25/1000(折半)となっております。
 保険料額については、あらためて当事務所よりご案内申し上げます。

 ご不明な点等ございましたら当事務所までお問い合わせください。(滝沢)

 
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