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平成17年11月号  



市場事務所便り

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社会保険労務士 市場 敬將
 
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管理職になって収入減?

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 景気に明るさが出てリストラも一段落したといわれていますが、企業はコスト抑制の手綱をゆるめる気配はないようです。最近では、管理職になって役職手当がつくようになった代わりに残業手当がなくなり、結果的に収入が大幅に減ってしまったというケースがあります。仕事の中身はほとんど変わっていないにもかかわらず、人件費圧縮を狙った昇格人事により会社と社員の紛争に発展する例があります。

法律上の管理監督者とは
労働基準法では労働時間や休憩、休日について一定の条件を設けることによって、労働者を保護していますが、いわゆる管理職は「管理監督者」として規制の適用外となっています。しかし、仮に会社が管理職と位置付けていても次のような要件を満たしていなければ、法律上の「管理監督者」とはならず、会社は残業や休日出勤には割増賃金を支払わなければなりません。

 (1)業務上の指揮命令権や相当程度の人事権がある
 (2)労働時間の厳格な拘束を受けない
 (3)管理監督者にふさわしい処遇を受けている

実際に裁判で争われた例
実際に残業手当の支給対象であるかどうかが争われた裁判では、どういう肩書きかではなく、実態がどうであるかで判断されました。
 ファミリーレストランの店長が社員6、7人を統制し、ウエイターの採用にも一部関与し、材料の仕入や、売上金の管理等をまかせられ、店長手当として月額2、3万円を受けていたとしても、営業時間である午前11時から午後10時までは完全に拘束されて出退勤の自由はなく、仕事の内容はコック、ウエイター、レジ係、掃除等の全般に及んでおり、ウエイターの労働条件も最終的には会社で決定しているので「管理監督者」にはあたらないとした例があります。
 また、銀行によって事情が違うため一般化はできませんが、支店長代理が、規定の就業時間に拘束されて、部下の人事やその考課には関与しておらず、経営者と一体となって銀行経営を左右するような仕事に全く携わっていないとして「管理監督者」には該当しないと裁判所が判断した例があります。


年金書類、事前送付サービス始まる
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 社会保険庁は10月から、厚生年金や国民年金の加入者が年金を受け取る年齢になる直前に年金の請求書類を送付するサービスを始めました。これまでは加入者が自分で気をつけて請求手続に出向く必要があり、不親切との批判が強かったので、従来に比べると利便性は大きく向上するでしょう。

60歳から年金を受けることができる人が対象
年金の裁定請求書類は一定の加入期間を満たし、60歳から厚生年金を受け取ることができる人を対象に加入者が60歳になる3ヵ月前に郵送します。書類にはあらかじめ氏名や基礎年金番号、過去の加入履歴などが印刷されており、加入者は説明書に沿って必要事項を記入し、社会保険事務所に持参すれば年金の請求手続ができます。受け付けは60歳の誕生日の前日からです。

60歳から受け取れない人には
60歳からは年金を受け取れない人や加入期間が足りない人には、60歳になる3ヵ月前に年金請求の手続きや年金加入期間などを記載した案内はがきを送付します。共済年金に加入していた期間などは、共済組合等から社会保険庁に情報提供されていない場合があり、加入期間として合算されていないこともあるので注意が必要です。
 また、共済組合の期間しかない人には、65歳前に各共済組合から年金の裁定請求書が送付されるため社会保険庁からは事前送付は行いません。65歳から国民年金だけを受け取る人や、年金を受け取る権利があり、まだ請求し忘れている人に対しては65歳の誕生日の3ヵ月前に書類を送付するサービスも同時に始めました。

建設事業主間で労働者派遣可能に
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 建設業務に従事する労働者の雇用の安定・維持を図るため、改正建設雇用改善法が10月から施行されています。改正の主な点は建設業務に従事する労働者を対象とした就業機会確保事業と有料職業紹介制度の創設の2点です。

就業機会確保事業とは
建設業務は、労働者派遣法によって労働者派遣の対象外となっているため、派遣業者が労働者を派遣することも派遣業者から労働者を受け入れることもできません。
 就業機会確保事業は建設業を営む事業主が一時的に余剰となった建設業務に従事する常用労働者を他の建設業の事業主の下に派遣することによって、その雇用の安定・維持を図るものです。

◆就業機会確保事業の4つの条件
(1)送り出し事業主と受け入れ事業主の双方が同一の建設業の事業
   主団体の構成員であること
(2)その事業団体が実施計画を作成し、厚生労働大臣の認定を受け
   ていること
(3)(2)の実施計画で示した送り出し事業主と受け入れ事業主の組み
   合わせの範囲でしか建設業務労働者の送り出し・受け入れができ
   ないこと
(4)常用雇用労働者の一時的な余剰が生じた場合に、余剰となる労
   働者の雇用の安定・維持を図るために行われるものであること

◆禁止・制約される点
就業機会確保事業は、一時的に余剰となる労働者の送り出し・受け入れを認めることで雇用の安定・維持を図ろうとするため、送り出し事業主が講ずべき指針により送り出すことのできる労働者の総数や送り出せる期間についての制約があります。
 具体的には、送り出し事業主が送り出しを目的に労働者を雇い入れることや退職予定者を送り出しの対象とすることを禁止しています。
 また、一事業年度において送り出す労働者の数は、自ら請け負った建設工事に従事させた延べ労働者の5割を超えてはならず、送り出し先で就業する日数についても、その労働者の所定労働日数の5割を超えないとの条件があります。

現役世代の負担、最高に
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 厚生労働省が社会保障審議会年金数理部会に報告したところによると、すべての年金受給者が受け取る基礎年金部分を賄うのに必要な現役世代の保険料負担額が、2003年度は一人当たり月1万4,800円と過去最高になりました。国民年金に加入する自営業者らの保険料(月1万3,580円)を、千円以上上回っています。

基礎年金の仕組み
現在、全国民共通の基礎年金財源の約3分の1が税金で、残りの3分の2が現役加入者が納める保険料となっています。高齢化が進み基礎年金の受給者は増える一方ですが、国民年金制度への不信感から国民年金保険料を支払わない人が第2号被保険者のうち約36%おり、現役世代で基礎年金の支え手から外れる人が増えています。
 その結果、基礎年金を支える一人当たりの負担額が膨らみつづけ、2001年度に国民年金保険料水準を突破し、2004、2005年度には月1万5,000円を超える見込みです。保険料を超えた分は国民年金の積立金を取り崩して支払うので、現役世代が将来受け取る年金財源がその分だけ減ることになります。

◆積立金の運用益に依存強める
2003年度の厚生年金の収支は、積立金の運用評価益を勘案した時価で3兆7,968億円の黒字(厚生年金基金の代行返上による特別収入を除いた実質値は約3,000億円の黒字)となり、3年ぶりに黒字となりました。
 ただ、運用収入を加味しない簿価では3,379億円の赤字(厚生年金基金の代行返上による特別収入を除いた実質値では3兆8,000億円の赤字)でした。
 国民年金の収支は時価で2,459億円の黒字となりましたが、簿価では500億円の赤字となっています。年金財政は積立金の運用益に依存する構造となっています。

今月のことば

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 いったい日本とは何だろうということを、最初に考えさせられたのは、ノモンハン事件でした。昭和十四年(一九三九)、私が中学の時のことでした。こんなばかな戦争をする国は、世界中にもないと思うのです。
 ノモンハンには、実際にいったことはありません。その後に入った戦車連隊が、ノモンハン事件に参加していました。
 いったい、こういうばかなことをやる国は何なのだろうということが、日本とは何か、日本人とは何か、ということの最初の疑問となりました。
 これは兵隊だったころから考えていました。そして敗戦のときに、しみじみと感じました。

 ひとびとはたくさん死にました。

 いくら考えても、つまり、町内の饅頭屋のおじさんとか、ラジオ屋のおじさんなら決してやらないことですね。ちゃんとした感覚があれば、お店の規模を考えるものです。
 ところが、こんなばかなことを国家の規模でやった。軍人を含めた官僚が戦争をしたのですが、いったい大正から昭和までの間に、愛国心のあった人間は、官僚や軍人の中にどれだけいたのでしょうか。
 むろん戦場で死ぬことは「愛国的」であります。しかし、戦場で潔く死ぬことだけが、愛国心を発揮することではないのです。四捨五入して言っておりまして、あるいは誤差を恐れずに言っています。
 私自身の経験を言いますと、私は戦闘に参加したことはありませんが、どういう状況になっても恥ずかしいことはしなかっただろうと思います。周辺の人間数人、あるいは十数人の人間を前にして、みっともないことはしたくないという気持ちですね。それがあれば、人間は毅然とすることができると思います。それは愛国の感情とは違う問題になります。
 むろん、愛国心はナショナリズムとも違います。ナショナリズムはお国自慢であり、村自慢であり、家自慢であり、親戚自慢であり、自分自慢です。
 これは、人間の感情としてはあまり上等な感情ではありません。
 愛国心、あるいは愛国者とは、もっと高い次元のものだと思うのです。そういう人がはたして官僚たちの中にいたのか、非常に疑問であります。
 
                   司馬遼太郎 「昭和」という国家
                    『何が魔法をかけたのか』より抜粋

〜当事務所より一言〜

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 「芸術の秋」ももう終わりをつげようとするほどの朝晩の冷え込みですが、いよいよ10月28日に今年度アカデミー賞主要4部門を受賞した『ミリオンダラー・ベイビー』のDVDがリリースとなりました。
 監督は当事務所だよりの7月号でもご紹介しましたクリント・イーストウッドです。
 彼もすでに監督作品は20本以上つくっていますが、とうとう彼の最高傑作ができたな、という私の印象です。物語の中でも3人の主人公が自分たちが後悔をしない「仕事」をやり遂げて映画は終わりを迎えます。3人のように後悔をしない「仕事」をするということは大変難しい事だと思いますが、私もなにかひとつ後悔しない「仕事」ができるよう日々をすごしていきたいものだ思います。

                                 (池亀)

健康保険被扶養者調書の提出について