イラスト01

平成19年11月号  



市場事務所便り

ご連絡先:〒381−1231
社会保険労務士 市場 敬將
 
長野市松代町松代 908
 
電話:026-278-3555 FAX:026-278-3540
e−mail:ima@ichiba-sr.com  URL:http://www.ichiba-sr.com


 

国民年金・国民年金基金をめぐる状況

◆国民年金保険料の納付状況
 社会保険庁は、2006年度の国民年金保険料の年齢層別の実質納付率を明らかにしました。 これは、納付を免除されている失業者や、納付猶予を受けている学生も分母に加えて算出した納付率です。 これまでは免除・猶予者を分母から除外して納付率を算出してきましたが、「実態を反映していない」という指摘を受け、初めて実質納付率が算出されました。
 社会保険庁の発表によると、全年齢層平均の納付率は49%。年齢層が下がるにつれて納付率は低くなり、40−44歳から下の年齢層はすべて50%を割り込んでいます。
 国民年金加入者の2人に1人が保険料を納めていない計算となり、国民年金の空洞化が一段と進んでいる実態が浮かび上がっています。 特に、20−24歳の層では26.9%、25−29歳の層では40.4%と、若くなるほど未納が深刻です。
 未納分については将来年金が給付されませんから、未納が与える年金財政への影響は少ないものと見込まれますが、今後、無年金で生活保護に頼る人が増えることが懸念されます。
 なお、社会保険庁が従来公表してきた公式納付率では、平均が66.3%、最も低い20−24歳の層でも56.2%となっていました。

イラスト02

◆国民年金基金加入の見直し
 ところで、国民年金に上乗せして厚生年金に加入しているサラリーマンなどの給与所得者と、国民年金だけにしか加入していない第1号被保険者とでは、将来受け取る年金額に大きな差が生じます。 この年金額の差を解消するための上乗せ制度として、第1号被保険者が加入できる「国民年金基金」があります。
 厚生労働大臣は、この基金の加入資格を見直し、60〜64歳で国民年金に任意加入している人も基金に入ることができるよう検討することを表明しました。 実現すれば、満60歳時点で保険料納付期間が40年に足りず、給付を増やすために国民年金に任意加入している60〜64歳の約25万人が、基金への加入を認められることになります。 併せて、掛け金の最低額の引下げも検討されます。現在、20歳男性で月額9,000円となっている掛け金ですが、6,000円程度まで引き下げられる見込みです。
 国民年金基金制度の加入者数は、国民年金加入者の3.3%にとどまっています。今回の見直しは、利用しやすい仕組みにして基金の加入者数を増やし、国民年金の受給者が受け取ることのできる年金水準をかさ上げすることをねらいとしています。


最近の労働事情2題

◆バイト時給、48カ月連続で対前年増加率プラス
 8月期における164職種のアルバイト平均時給が976円(前月974円、前年同月956円)で、前月に比べ2円増となりました。人材総合サービスを行っている株式会社インテリジェンス(本社:東京都千代田区丸の内)が、運営する仕事情報誌「an」に掲載された求人広告から平均時給を分析して明らかにしたものです。
 対前年増加率は、2003年9月から48カ月連続でプラスとなっています。
 景気は回復傾向にありますが、企業では、人手不足の解消に際し、正規労働者よりもアルバイト・パートの採用を行うことが多いようです。 そのため、各社の採用意欲は高い状態にあり、今後もアルバイト・パートの平均時給は高い水準で推移すると考えられています。

イラスト03

◆サービス残業の是正指導が過去最多
 厚生労働省によると、サービス残業で労働基準監督署から是正指導を受け、2006年度に未払い残業代を100万円以上支払った企業が、前年度比約1割増しの1,679社にのぼることがわかりました。 これは、調査開始以降、過去最多となります。未払い残業代の総額は約227億1,400万円で、前年度より約5億8,000万円減っています。
 労働時間の管理がずさんな企業が、依然として多くみられるようです。正規労働者の数は削減傾向にありますが、景気回復で仕事は増える一方。これでは、残業代くらいはきっちり払ってもらわないと割が合わないと考える人が増えているということでしょうか。
 指導企業数の増加について、厚生労働省では、労働者の中で残業代はきっちりと支払ってもらうという権利意識が向上し、監督署に申立てをする人が増えたのも原因の1つであるとみています。


社会保険加入手続を怠った
会社に賠償請求できるか
イラスト04

◆将来受け取る年金額が少なくなる
 会社が社会保険の加入手続をしていないことがあります。労働者がそのことを知らないでいると、その期間は保険料を納めていないことになりますから、退職後に受け取る年金も少なくなってしまいます。
 こういった場合、加入手続をとらなかった会社に対して、損害賠償を請求できるのでしょうか。

◆「社会保険」とは
 健康保険と厚生年金保険を合わせて「社会保険」と呼びます。 健康保険法と厚生年金保険法の「適用事業所」に該当する会社の事業主は、雇用者のために社会保険の加入手続を行うことが義務付けられています。
 社会保険料は労働者と会社が折半で支払うため、労働者にとって加入のメリットは大きいものです。 一方、経営状態が苦しい会社には大きな負担となります。 そのため、保険料の支払いを免れようと、加入手続をとらない会社があるのです。 しかし、社会保険庁に対して労働者の「被保険者資格取得」の届出をしなかったり、ウソの届出をしたりした会社は、健康保険法と厚生年金保険法の罰則対象になります。

◆損害の立証が難しいことも
 では、未加入によって、会社側は民事上の賠償義務を負うのでしょうか。 事業主が届出を怠ることは、労働者の法益を直接に侵害する違法なもので、労働契約上の不履行とされる場合もありえます。
 ただ、若い労働者の場合、提訴時点では年金受給資格を得られるまで働き続けるかわからず、損害立証が難しくなります。 退職して年金を受給している場合は、受けられたはずの年金額の計算ができ、損害額算定が比較的容易です。

◆自ら確認を
 「確認しなかった労働者の過失」とされないように、加入手続がとられているかどうか確認することが大切です。 社会保険事務所に問い合わせれば、「誰が」「いつから」社会保険の被保険者として届けられているか確認することができます。
 また、「年齢制限がある」等の虚偽の説明をして、「社会保険への加入資格がない」と言う会社もあります。 おかしいと感じたら社会保険事務所や社会保険労務士に相談することが大切です。


企業年金の未払いも明らかに
イラスト05

◆企業年金にも多くの未払い
 国民年金や厚生年金の記録漏れ問題の全容解明も途中だというのに、今度は企業年金の未払いが明らかになりました。 転職などによって厚生年金基金を脱退した人の年金資産を引き継いでいる企業年金連合会が、124万人に年金を支給していないことを発表したもので、未支給額は累計1544億円になるといいます。

◆加入者を軽んじた企業年金連合の未払い
 企業の厚生年金基金が解散したり、転職して短期間で加入資格を失ったりしたとき、加入者の年金資産は企業年金連合会に移ります。 企業年金連合会は、こうした人の資産をまとめて運用し、各人の加入期間に応じて年金給付しています。 現在は、2,400万人の年金記録を管理し、276万人に年金給付を行っています。
 年金が未払いになっている124万人という数は、この約半数に達します。 企業年金連合会は、未支給者がこれだけいる理由について、その大半は支給開始年齢に達したときに支給開始の手続きをとることができないためだと説明しています。

◆申請主義に限界?
 年金を受け取るには、本人が企業年金連合会に請求手続をする必要があります。 「申請主義」を補うため、請求手続をとるように加入者が60歳になる直前に通知する仕組みが導入されています。 しかし、住所を追跡把握していないため、特に若いころに厚生年金基金を脱退した人には手続きが必要なことを知らせるのが難しいのが現状です。 こうした人の多くについては、請求手続が行われないため、年金の支給も開始されません。
 未受給者の中には、自らの意思で権利を放棄したわけではなく、申請手続の必要性を知らなかったために未受給となっている人も数多く含まれる見通 しです。

◆今後の対策は?
 企業年金連合会はフリーダイヤル(電話:0120-458-865)を開設し、100人体制で相談に応じることにしています。 また、社会保険庁に対して加入者の住所情報の提供を求め、来春以降、企業年金の中途脱退者などに定期的に年金記録を通知することにしています。
 企業年金連合会には13兆円の積立金があり、仮に未支給の1,544億円の全額を支払っても、財政への悪影響は限定的です。
 企業年金連合会はこれまで豊富な運用資産をバックにガバナンスの改革を迫ってきました。 日本最大の「モノ言う株主」ですが、顧客に当たる加入者情報の管理強化など、自らのガバナンス見直しも迫られそうです。


今月のことば
イラスト06

 私は役人とは国民の利便を増進するために仕事をするものだと思っている。 だから宅急便のネットワークを広げるために免許申請をしたとき、既存業者の利権を守るために拒否されたのには、芯から腹が立った。 需給を調整するため免許を与えるかどうかを決めるのは、役人の裁量権だという。 では需給はどうかと聞いても資料も何も持っていない。 行政指導するための手段にすぎない許認可の権限を持つことが目的と化し、それを手放さないことに汲々としている役人の存在は、矮小としか言いようがないのである。
  すべての役人がそうだというわけではないが、権力を行使することに魅力を感じて公務員になった人もいると聞く。 何とも品性の落ちる話ではないか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 役人の一番いけないところは、結果に責任を持たないことである。 人間誰しも間違いはある。私も経営上の判断で間違いを犯したことは多い。 しかし気がつけば、社員に率直に謝って訂正したものである。 過ちがあったとき率直に訂正するから、社員から信頼を得ることができたのだ。
 霞が関には無謬性という言葉があるそうだが、その思い上がった精神構造は理解することができない。 煎じ詰めていくと、世間知らずの役人の言うことを聞く経営者が悪い、ということになるのだ。

小倉昌男 著  
『経営学』より抜粋  


〜当事務所より一言〜

 先日、中学生の二女の柔道の試合があり、見に行ってきました。学校や道場毎に柔道に取り組む姿勢・応援態度の違いを感じます。
 中学生の柔道は、関節技禁止など大人の柔道より制限があります。 ですが、反則まがいの事を教えているらしき指導者、それを良しとしている親、また、自分の子の対戦相手にはルール内の事をしてるにもかかわらず文句を言い、自分の子の事は反則をしていてもちょっとくらいならばいいではないかと平気で言っている親、いろいろな方がいます。 子供たちはまだ中学生ですので、指導者や親に言われた通りの事をしているわけですから、誤ったことを教えられても、それが正しいと信じてしまいます。
 正しい事・間違っている事を正しく判断出来る力、また正しい導きが大事だなと感じる一日でした。それと同時に自分はどうなのだろうと反省する一日でした。


                        (市場敏江)      

イラスト07