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平成20年4月号
  


市場事務所便り

 

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“名ばかり管理職”問題
−マクドナルド判決のその後

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◆マクドナルド判決後の同社関連の動き
 日本マクドナルドが直営店の店長を管理職とみなして残業代を支払っていないのは違法だとして、 埼玉県内の男性店長(46歳)が未払い残業代など約1,350万円の支払いを求めていた訴訟において、1月下旬に東京地裁は「店長の職務内容から管理職とはいえない」として同社に約755万円の支払いを命じる判決を下し、新聞やテレビなどで大きく報道されました。
 その後、マクドナルドの元店長3人が残業代の支払いを求めて東京地裁へ提訴することも明らかとなっており、さらには別 の元店長数人も訴訟提起を検討しているとのことで、 今後同様の動きが広がっていけば、約1,700人の店長を抱えている同社の経営に大きく影響を与えかねないと思われます。

◆他の業界でも制度見直しの動きが
 他の業界でも、上記判決の影響を受けてか、様々な動きがみられました。
 2月上旬に、コンビニエンスストア最大手のセブンイレブン・ジャパンは、管理職と位置付けている直営店の店長に対して3月から残業代を支払う方針を示しました。 大手小売業や外食業で制度を見直したのは、マクドナルドに残業代の支払いを命じた東京地裁の判決後、初めてのことだそうです。
 また、2月下旬には、東日本でレストランチェーン店を運営するカルラも、店長の職務内容を洗い直して管理職から外し、手当等を変更して残業代を支払うことを決定しました。 これもマクドナルド判決を受けたものとみられており、同社以外にも追随する外食企業が出てくる可能性があるかもしれません。

◆まだまだ出てくる!?「名ばかり管理職」「偽装管理職」
  労働者や労働組合の権利擁護活動を行っている日本労働弁護団(http://homepage1.nifty.com/rouben/)では、2月中旬に「名ばかり管理職」(十分な裁量や手当がない肩書きだけの管理職)に関する電話相談を初めて実施したところ、 1日だけで130件以上の相談が寄せられたそうです。 「管理職なのに部下がまったくいない」「高卒1年目ですぐに管理職にさせられた」「遅刻をすると減給されてしまう」「管理職候補だという理由だけで残業代が支払われない」などといった事例があったようです。
 「名ばかり管理職」「偽装管理職」の問題はたいへん根が深く、まだまだ終わらないようです。


「オモシロ手当」の導入で
業績アップにつながる?
 

◆管理職に「部下手当」を導入!
 上司が部下との付き合いを円滑に進めるのはなかなか難しく、コミュニケーションを図ろうと仕事が終わった後にお酒を飲みに行ったりする場合などは、 どうしてもお金がかかってしまうものです。
 マンション分譲大手の日本綜合地所は、今年の4月から、部下との会食や冠婚葬祭のための費用に充ててもらう目的で、管理職を対象に「部下手当」を導入すると発表しました。 “フトコロ”の心配をせずに部下とのコミュニケーションを積極的に図ってもらい、間接的に業績アップにつなげるのが狙いだそうです。

◆支給対象・支給額はどうなっている?
 この部下手当の支給の対象となるのは副課長以上の約60名(部長級23名、それ以外の管理職39名)で、毎月の支給額は月10万から30万円の範囲となるそうです。 部下が20名以上の部長級で「30万円」、部下が19名以下の部長級で「20万円」、それ以外の管理職(課長、副課長)は「15万〜10万円」となります。
この部下手当は給与の一部として支給されますが、管理職手当などとの違いを明確にするため、通常の給与の振込口座とは別の口座に振込を行うなど、工夫するそうです。
 同社では従来、取引先との付き合いなどの費用は経費として処理してきましたが、部下や同僚との社内の飲み会は自己負担となっていたそうです。 この部下手当の導入により、年間約1億5,000万円の負担増を同社では見込んでいます。

◆優秀な教授に最高20万円の特別手当
 東北大学では、今年の4月から、研究や社会貢献活動で業績を上げた教授を「優秀教授」(ディスティングイッシュト・プロフェッサー)として選出し、最高で月額20万円の特別手当を支給することを決めたそうです。
 国内外から優秀な人材を確保して大学の競争力を高めるのが最大の目的で、全国の国立大では初めての試みだそうです。 2008年度は、約800人いる教授の中から各部局長の推薦をもとに約25人を選出して、それぞれ任期は3年になるとのことです。
 大学間の人材獲得競争が激化している今、同大学では、「能力のある人物は高く処遇し、その姿勢を世界に示したい」と話しています。
 日本綜合地所も東北大学も、それぞれの手当に見合うだけの効果(またはそれ以上の効果)を期待しているようですが、果たして結果はどうなるか、注目したいところです。
 皆さんの会社でも参考にされてみてはいかがでしょうか。

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今年度から新設される助成金関連情報

◆非正社員の正社員化を支援する「中小企業雇用安定化奨励金」
 厚生労働省は、中小企業によるパート社員・契約社員・派遣社員などの正社員化を支援するための助成制度を今年度から開始することを明らかにしました。非正社員は、今や働く人の3人に1人まで増加し、正社員との待遇格差が問題となっています。同省では、雇用の安定化を図りたいとしています。 この助成制度の名称は「中小企業雇用安定化奨励金」(仮称)です。4月の時点で従業員が原則300人以下の中小企業を対象としており、非正社員を正社員化する制度を就業規則に盛り込み、実際に正社員化すれば35万円が支給されるものです。さらに、正社員になった人が3人以上出た場合、10人を限度に1人につき10万円が支給されます。 また、同省では、非正社員の待遇改善に向けた指針の策定や、日雇い派遣の規制強化を含む労働者派遣法の改正も検討するとしています。

◆長時間労働の是正などを図る「職場意識改善助成金」
 厚生労働省は、労働時間等の設定の改善(過重労働の是正、年次有給休暇の取得促進等)に向けた職場意識の改善に積極的に取り組む中小企業に対して、「職場意識改善助成金」を創設する方針を明らかにしました。 中小企業が、職場の意識改善を図るために「職場意識改善計画」(実施体制の整備、職場意識改善の措置、労働時間等の設定の改善のための措置を盛り込むことが必要。実施期間は2年間)を策定し、効果 的に実施したと認められる場合に、総額で150万円支給されるものです。 なお、支給される中小企業は、以下のいずれかに該当するものです。 ・資本金の額または出資の総額が3億円(小売業またはサービス業を主たる事業とする事業主については5,000万円、卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業主 ・常時使用する労働者の数が300人(小売業を主たる事業とする事業主については50人、卸売業またはサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下である事業主


相次いで明らかになった
残業代不払いの事例
 

◆ミズノは18億円以上の不払いが発覚
 残業代不払いの疑いで是正勧告を受けて社内調査に乗り出していたスポーツ用品大手のミズノは、従業員約2,000人に対する残業代の不払いが、過去2年間で合計18億6,000万円あったと3月初めに発表しました。
 同社では「労働時間改善委員会」を設置して勤務時間を適正に把握する体制を整えるほか、不払い分の残業代を3月の給与振込み時に一括で支払うとしています。

◆近畿大学は1億円不払いで書類送検
 近畿大学は、2007年1月から半年間にわたって事務職員の残業代不払い(総額約1億円)を続けていたとして、同大学と元人事部長が労働基準法違反容疑で大阪労働局に書類送検されました。
 不払いは元部長の独断によるものだったとされていますが、同大学が2003年にも是正勧告を受けていることから刑事責任を問うべきだと判断され、法人にも罰則を科す両罰規定が適用されました。

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◆いっこうになくならないサービス残業
 厚生労働省の発表によると、2006年度に労働基準監督署からサービス残業があったとして是正指導を受けた企業数(その支払額が1企業当たり合計100万円以上となったもののみ)は1,679社で、対象労働者数は182,561人、支払われた残業代は総額で227億円1,485万円(企業平均1,353万円、労働者平均12万円)となっています。 企業数は前年度比155社増で過去最高でした。
 なお、1企業当たり1,000万円以上の支払いが行われた企業数は317企業(全体の18.9%)、対象労働者数は120,123人(全体の65.8%)、支払われた合計額は181億5,200万円(全体の79.9%)です。
 今後ともサービス残業に対する行政指導は厳しさを増す見込みです。


今月のことば

 尊敬していた環境庁の山内豊徳局長が自ら命を絶って七年が経つ。水俣病の補償問題で板ばさみになっていたとのことだが、詳しくは知らない。このところ官僚の不祥事が報じられるたびに、きまって彼の顔が思い出される。
 彼の死に関する当時の報道の中に、私が今もって忘れられない小さな記事があった。それはある週刊誌の取材に答えた近くに住む主婦の談話であった。
 『テレビで顔を見てびっくりしました。あの人は休みの日に道路や遊園地のゴミや空カンを拾って歩いていた人です。立派な人がいるなあと思っていましたが、あんなに偉い人だとは知りませんでした』
 日曜の早朝、何年もひとり黙々と空カンを拾い集めていた人。その人が“政府高官=hであったのだ。模範を示して多くの人を啓蒙しようなどと考える人ではない。きっと『空カンがあれば汚いし、子供たちがケガをする』という自然な気持ちから出たおこないだ。
 その後、彼の隠れた善行がいろいろなところから明るみに出てきた。生前そんなことはおくびにも出さなかったが、いずれも『彼ならば』と思わせる心打つ話であった。
 追悼集の中で彼の娘さんは『父を支えていたのは“困っている人々の役に立ちたい”と言う気持ち』、『その気持ちを父は最後まで貫いた』と言っている。そして二人の娘さんは『父はいつも輝いて見えた』と語った。父親の輝きを誰よりも深く感じ取ることのできる家族を持ったことが、山内さんにとって無上の幸せだったと思う。私はこのけなげで誇らしい追悼の言葉を、できることなら彼に届けてやりたいと思った。
 彼のような人物になることは難しいが、少なくともそれを正しく評価し、迷わず上席を譲ることのできる人でありたいものだ。

田中 秀征 著 
「東京新聞」コラム、「放射線」より抜粋 


〜当事務所より一言〜

 我が家の娘も未満児クラスから年少クラスへと進級し、すっかりお姉ちゃんになってきました。先日、初めて先生と懇談会がありました。時間に近づいてくると気持ちが落ち着かず、何を話せば良いのか思いも浮かびませんでした。これから幾度となく経験する事なのですが、親としての責任が問われる時間でした。

(中村) 

  



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お知らせ

 皆様もご存じのとおり、4月1日より「後期高齢者医療制度」がスタート致しました。
 この後期高齢者医療制度の施行に伴いまして、後期高齢医療の対象となられる方は、社会保険事務所にて被保険者資格喪失届、被扶養者(異動)届の提出が必要となります。随時当事務所より届出書類をお送り致しますので、ご確認頂きまして押印をお願い致します。
 尚、ご返送の際には該当のかたの「被保険者証」、「高齢受給者証」もあわせて当事務所までお送り頂きますようお願い致します。

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