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平成21年2月号

市場事務所便り
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社会保険労務士 市場 敬將
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無保険の子どもを救う
「改正国民健康保険法」

◆「無保険」の子どもを救済
 自営業者らが加入する国民健康保険において、景気悪化の影響もあり、保険料の滞納が目立っています。保護者が国民健康保険の保険料を滞納したために「無保険」になっている中学生以下の子どもに臨時の保険証を発行する「改正国民健康保険法」が成立し、今年の4月1日から施行されることになりました。

◆滞納から発生する問題
 日本では、全国民が公的な医療保険制度に加入する「国民皆保険」が建前となっています。会社員や公務員といった勤め人とその扶養家族は健康保険や共済組合などに加入し、自営業者やフリーター、会社退職者などは、原則として、自治体が運営する国民健康保険に加入します。
 健康保険や共済組合では、多くの場合、加入者の給料から保険料が天引きされます。国民健康保険では、65歳以上の加入者から年金の天引きもありますが、多くの加入者は保険料を自ら払い込みます。国民健康保険に加入している世帯は約2,500万世帯あるそうですが、その2割弱で滞納が発生していると言われています。
 厚生労働省は保険料徴収を強化するため、2000年から、1年以上滞納したときは、特別な事情がなければ、保険証ではなく「資格証明書」を交付することを自治体に義務付けました。この資格証明書は、保険証の代わりに交付されるもので、窓口負担が全額自己負担となりますが、市町村へ申請することにより保険給付部の7割が還付されます。
 しかし、資格書証明書を持つ加入者が病院にかかることを我慢し、病状を悪化させたり、死に至ったりするケースが報告され始め、この仕組みが裏目にでるようになりました。さらに、親の保険料滞納により保険証を回収され、医療機関にかかることの多い子供たちが「無保険状態」になることが問題視されるようにもなりました。厚生労働省の調査によると、無保険状態の中学生以下の子どもは全国に約3万3,000人もいると報告されています。

◆無保険の子どもを救う今回の法改正
 このような状況に対策を打つべく、今回の改正が行われました。具体的には、中学生以下の子どもが医療を受ける必要がある場合、有効期間が6カ月の「短期保険証」を一律に交付します。これにより、保護者が保険料を滞納している状態であっても、中学生以下の子どもが医療機関で必要な医療を受けられるようになりました。
 国民健康保険は国民「皆保険」を守る最後の砦となっているにもかかわらず、保険料の滞納によって様々な問題が生じているのが現状です。必要な医療を受けられない無保険の子どもを救済するために今回の改正は行われましたが、まだまだ取り組むべき課題がたくさん潜んでいるようにも思えます。



国の失業者対策と民間企業や自治体による失業者の採用

◆非正規労働者の失業が急増中
 厚生労働省の調査によれば、景気後退によるリストラにより、昨年10月から今年3月までに職を失う(実際に失った)非正規労働者の数は8万5,012人に達する模様で、昨年11月末の調査時から2.8倍に拡大しています。また、昨年11月の有効求人倍率(0.76倍)、完全失業率(3.9%)はいずれも悪化しており、不況の深刻さを物語っています。
 連合が昨年12月中旬に発表した「緊急雇用実態調査」によれば、過去3カ月間に解雇等の雇用調整を行った企業は約3社に1社にのぼるそうです。期間工や派遣労働者を多く雇用している製造業ではこの傾向が特に顕著であり、約48%の企業が、すでに雇用調整を実施しています。

◆厚生労働省による失業者対策
 厚生労働省は、昨年12月に、失業した非正規労働者に対して、ハローワークを通じて住居費や生活費に充てるための資金(半年で最高180万円)を低利で融資すると発表しました。また、派遣契約解除に伴う失業者の就業支援を今年から強化する方針も明らかにしています。内容は、全国約30カ所のハローワークに専属の担当者を配置し、履歴書の書き方や面接の受け方に関する指導、職業紹介などを行うものです。
 また、同省は、雇止めされた非正規労働者などが失業手当を受給するために必要な雇用保険の加入要件について、現行の「1年以上の雇用見込み」から「6カ月以上」に短縮する方針も示しています。失業手当の給付日数も60日程度上乗せする方針で、現在開会中の通常国会に雇用保険法の改正案を提出し、2009年度からの実施を目指すとしています。

◆民間企業・自治体による失業者などの積極採用
 タクシー会社の第一交通産業(福岡県北九州市)では、雇用の受け皿として、今年3月末までに30の都道府県で合計6,000人を運転手として採用すると発表しました。居酒屋「白木屋」などを運営するモンテローザ(東京都武蔵野市)でも、主に雇用調整で失業した人などを対象として、3月末までに最大で500人を正社員採用すると発表しています。その他にも、ラーメンチェーンを経営する幸楽苑(福島県郡山市)は店長候補として150人、進学塾などを経営する学究社(東京都新宿区)は臨時職員として100人をそれぞれ採用するとしています。
 同様の動きは自治体でも見られます。大分キャノンや東芝などの工場がある大分市では、解雇された非正規労働者約50人を臨時職員やアルバイトとして採用することを決定しています。神奈川県横浜市(約500人)、東京都港区(約50人)などでも、不況対策として契約解除された非正規労働者を中心に臨時職員として採用する方針を示しています。トヨタ自動車の本社がある愛知県豊田市では、1月中旬以降に臨時職員100人前後を採用するそうです。
 このように、失業者を積極的に採用する動きは今後も広がっていきそうです。



「年金記録問題」に関連した 最近の動き

◆「無年金」状態から受給権を回復
 社会保険庁は、「宙に浮いた年金記録」から自分の記録が見つけ出されたことにより、「無年金」の状態から受給権を回復できた人が、今年5〜9月の間に62人いたと発表しました。この62名の方々の年齢は62歳から93歳までであり、受給可能な年金額は年間平均で約61万3,000円となっています。

◆記録の訂正が社保事務所で 可能に
 社会保険庁は、厚生年金標準報酬月額が改ざんされていた問題に関して、記録の回復を早めるため、従業員の記録が遡って改ざんされていた場合について、総務省の年金記録確認第三者委員会における審査を省略し、社会保険事務所で記録を訂正できるよう、全国の社会保険事務所に通知を出したそうです。
 被害者が事業主や役員でない一般の従業員であり、事業所が厚生年金から脱退した後に遡って従業員の標準報酬月額が引き下げられていたり、加入期間が短くされていたりするケースにおいて、改ざんされた時期の給与実態が給与明細書等の記録により確認できる場合に、記録の訂正が可能となります。

◆記録漏れの訂正事務処理 体制を強化
 舛添厚生労働大臣は、年金記録の訂正事務処理を行うための人員について、現在の280名から500名に増やす方針を明らかにしました。平均で7カ月程度かかっている訂正申請から年金受給までの期間を3カ月程度に短縮するのがねらいだそうです。なお、1月末時点での未処理件数は約80万件にのぼると見込まれています。
 また、舛添大臣は、年金の支払いが遅れた分だけ利息をつけることを検討する意向を示しました。税金が徴収されすぎた場合には利息をつけて還付されていることが念頭にあるようです。

◆「電子私書箱」活用で記録改ざん 防止に
 政府は、社会保障関連の個人情報などを、本人がインターネットで閲覧できる「電子私書箱」(仮称)を活用して、標準報酬月額などをネット上で直接確認できるようにする制度の創設を検討していることを明らかにしました。事業主や社会保険事務所の手続上のミスや改ざん防止をねらうためであり、順調に行けば2011年度導入の予定です。



今月のことば

保阪「もうひとつ例を挙げます。戦備課長に岡田菊三郎という人がいました。昭和十六年、東條(英機)にアメリカとの戦力比を調べろと言われた。戦備課ですからいろいろデータをもってきて調べる。潜在的な工業力、軍事力を勘案して出てきたのは10:1という比率だったといわれています」
半藤「10:1!」
保阪「しかし、それを東條の前に出すわけにはいかないんで、いろいろ数字を操作して5:1―4:1という説もあるんですが―になったのを東條の前にもっていった。すると軍事指導者たちは満足そうに『太平洋で戦うわけだろう?だからわれわれの方が有利なんだ』となる。
 つまり、太平洋はわれわれの中庭だ。あいつらにとってははるかに遠いところだ。われわれには精神力がある。あいつらガムを噛んでダンスしている連中とは違う。いくら向こうが豊かであっても太平洋で戦うとすれば五分五分だなんてトリッキーなことを言い出すんですね。これほど無知蒙昧なかたちで軍事分析をやってよかったのかっていうことですよ」
半藤「いいわけがない(笑)。しかし、栗林忠道なんて人はそうじゃなかったでしょう」
保阪「栗林もそうですが、ほんとうにアメリカを見ていた陸軍軍人には山内正文や磯田三郎という人がいます。しかし、そういう人たちの意見はまったく考慮されなかった。アメリカっていう国はそんな惰弱な国じゃない、潜在工業力はすごいものがあるといったところで、まったく採用しようとしない。つまり、日本陸軍はアメリカについて、戦争をやるときもまったく知らなかったと言っていいのです」

保阪正康+半藤一利 著
『「昭和」を点検する』より抜粋



〜事務所よりひとこと〜

 「100年に一度の不況」「未曾有の状況」と言われ、暗いニュースばかりの毎日です。
少し前までは長期間好景気が続いていたようですが、我が家の経済はその間も決して“好景気”ではありませんでした。そこへこの世界的な不況が起こり、これからどうしたら良いのか、本当に人ごとではありません。節約も限界、働いても働いても収入は増えず、なにか良い方法はないでしょうか?
 バブル景気がはじけた頃、「親方日の丸がいいよな」と言った友人がいました。家業の経営が苦しかったその人がどんな気持ちでそういったのか…。
不況で「親方日の丸」は大人気。しかし、その一方でこの『親方』はきちんとリーダーシップをとってくれるのか、本当に信頼してよいのか不安は尽きません。
 色々考えては怒り、心配になり、よく眠れない(!?)今日この頃なのです。

(市村)