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平成21年6月号

市場事務所便り
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社会保険労務士 市場 敬將
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国民年金納付率が過去最低を更新

◆3年連続で低下
 2008年度の国民年金保険料の納付率は62%前後となり、過去最低だった2002年度を下回りました。3年連続の低下で、政府が目標とする80%との乖離が広がっています。

◆納付率低下が与える影響
 国民年金の納付率が低下した原因として、年金記録問題への対応に人手を割かれて保険料収納担当は人員削減となり、収納が効率よくできなかったことや、記録漏れ問題への不信感から意図的に支払われなかった人が増えたことなどが挙げられます。そして、雇用情勢の悪化も追い討ちをかけ、リストラなどで離職者が増え、厚生年金から国民年金に切り替わるケースが増加し、生活費の確保を優先して滞納する人も増えていると指摘されています。
 厚生労働省がまとめた公的年金の財政検証によれば、国民年金の納付率が80%で推移すれば、現役世代の手取り収入に対する厚生年金の給付水準は「50.1%」に下げ止まると試算しています。しかし、納付率が低下すれば積立金が減るなどして前提条件が崩れ、政府が約束する「50%給付」は難しくなると言われています。
 さらに、国民年金未加入者や未納者が加入期間を満たすことができず、将来年金を受け取ることができない無年金者が増えると、生活保護者を増やすことにもつながり、国の負担はますます増えることが懸念されています。

◆納付率アップへの取組み
 社会保険庁は、1990年代前半に80%台を維持していた納付率を回復させようと、クレジットカードやインターネットで納付ができるように環境を整備しているほか、収納業務の民間委託対象を増やすなど強制的な徴収の枠組みづくりなどにも力を入れ、納付率の向上を目指してきました。
 そして、今年11月からは「住民基本台帳ネットワーク」を活用し、国民年金のみ加入者を把握し、34歳と44歳に達した人を対象に国民年金への加入を勧奨するそうです。ねらいは、通知を送ることで未加入者を効率的に減らすことです。
 納付率の低さが、将来我々の受け取ることができる年金に響いてくるという現在の年金制度にも問題があるように思いますが、何よりも、なぜ国民年金を払う必要があるのかということ、加入することのメリット、年金を受給するためには必ず加入期間が25年必要であることなど、国民に対してわかりやすい制度の説明を十分に行うことが必要でしょう。
 年金への不安や不信感が高まる中、年金に対する意識を変えることが納付率向上の一番の近道になるように思います。

労働基準監督署への申立て件数が増加

◆雇用情勢悪化の中…
 景気後退で雇用情勢が悪化し、労働基準監督署に不服を申し立てる労働者が急増しているようです。不当な解雇や賃金不払いなどを不満とするケースが多くみられ、2008年の申立て件数は39,384件となり、1955年以来、53年ぶりの高水準となりました。

◆申立て内容の検討
 全国約320の労働基準監督署では、雇用問題に関する労働者からの相談や申告を受けつけています。これをもとに調査を実施し、労働基準法などの法律違反が判明すれば、企業に是正勧告がなされます。勧告に従わない企業は送検されることもあります。
 2008年の申立て件数は前年比11%増え、厳しい不況に見舞われた直後の1955年(55,999件)以来の高水準となりました。2009年に入っても1月は3,647件、2月は3,811件と高水準で推移しています。
 2008年の内訳をみると、最も多いのは賃金不払い(28,955件)で、経営不振の企業から賃金をもらえなくても数カ月間辛抱して働き、我慢できなくなって最後に申し立てる労働者が目立っています。一方、職場に突然来なくなるなど、賃金不払いの責任が労働者にあるケースもみられます。
 解雇は7,360件で、解雇に至るまでの手続きが十分でない企業が多くみられます。企業が労働者を解雇する場合、30日以上前に予告する必要がありますが、予告しないときには30日分以上の賃金(解雇予告手当)を支払わなければいけません。こうした手続きを知らない企業の増加が不服を申し立てる件数を押し上げているとみられています。

◆労使トラブルに発展する前に
 現在、やむなく労働条件の引下げや希望退職者の募集、解雇など雇用調整を行わざるを得ないとする企業が多くみられます。労働条件引下げや解雇などを行うことがやむを得ない場合であっても、実施に当たっては、法律で定められている手続き、労使間で定めた必要な手続き等を遵守するとともに、事前に労使間での話合いや労働者への説明を行うことが必要です。これらを怠ると労使のトラブルに発展します。
厚生労働省では、労働条件引下げや解雇をやむを得ず検討しなければならない場合であっても守らなければならない法令の概要や、労務管理上参考となる裁判例の主なものを取りまとめた「厳しい経済情勢下での 労務管理のポイント」
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/081218-1.pdf)というリーフレットを作成しました。このリーフレットで労務管理のポイントを自社と照らし合わせ、適正な手続きのもと労使トラブルに発展することを回避したいものです。


新型インフル流行で注目浴びるか「在宅勤務」

◆新型インフルエンザ流行による影響
 新型インフルエンザの感染が拡大すると、「働き方として在宅勤務(テレワーク)が注目を浴びるのでは?」と言われています。会社員であれば、通勤中の電車やバス内で感染の可能性が高くなるからです。
 テレワーク利用者(IT活用により場所と時間を自由に使った柔軟な働き方を週8時間以上利用する人)の数は、「ワーク・ライフ・バランス」などを背景に、2002年に408万人だったのが2005年には674万人と、3年で約65%増加しています。新型インフルエンザの流行によりこの動きがますます加速する可能性があります。

◆導入目的・実施しない理由
 労働政策研究・研修機構が2007年に実施した調査によると、企業が考えている「テレワークの導入目的」「テレワークを実施しない理由」は次の通りです。
【導入目的】
・勤務者の移動時間の短縮…66.7%
・仕事と育児・介護など家庭生活の両立…58.3%
・創造的業務の効率・生産性の向上…50.0%
【実施しない理由】
・労働時間の管理が難しい…62.7%
・適した職種(仕事)がない…49.2%
・コミュニケーションに問題がある…45.8%

◆導入には何が必要か?
 テレワークを導入するには、まずその職種が導入可能な職種なのかを判断しなければなりません。会社がどのように労働時間を管理するのか、通信費の費用負担はどうするのか、労災が発生した場合はどうするのかなどの問題もクリアしなければなりません。
 また、厚生労働省が2008年7月に改訂した「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」などを参考に、「在宅勤務規程」をしっかりと整備しなければならないでしょう。」



〜今月のことば〜

 勝海舟という人は、実は大砲の撃ち方もあまり知らなかったのではないか、と思うのです。航海のための天測法も知らないし、まして、榎本武揚のように数学や科学に通じているわけでも、福沢諭吉にように文章が書けるわけでもない。要するに技術的な世界は、勝にとってあまり意味がなかったのです。勝は、歴史の本流だけしか知らない。変な人物ですね。
 だから、勝は富国強兵というようなことをあまり言っていません。富国強兵も勝にとって思想の一つだったとは思うのですが、しかしそのために軍艦何隻が必要だとか、そんなことは言わない。ただ、歴史のこの場所に、いまおれたちは立っているんだ。歴史はこれからこうなるだろう。だからこうしちゃいけない−。こういうことだけを言い続けているのですね。


『司馬遼太郎対話選集3 歴史を動かす力』より抜粋

〜事務所よりひとこと〜

 「エコ」最近よく耳にします。「エコ換え」「エコポイント」「エコ減税」などCO2を削減するためCO2の排出が少ない物に買い換える目的ですがその反面、粗大ゴミから使用できる製品を再利用し生活している人を紹介し、「物を大切にリサイクルしましょう」と呼びかけたりと家計にとっての「エコ」を紹介したりします。「CO2排出の少ない物にしましょう」と言うのであれば、CO2排出の多い製品をリサイクルする事は地球に「エコ」でないのでは?と矛盾を感じる事が多々あります。どうする事が本当に地球のため、家計のための「エコ」なのか目先の利益だけで考えるのではなく行動することが大切なのではないかと思います。

(中村)


〜お知らせ〜

(1)労働保険の年度更新について
ご案内の通り、労働保険の年度更新の時期になります。保険年度の初めに新年度の概算保険料及び前年度の保険料を確定するための申告・納付を行う、年に一度の大切な手続きですので、ご協力をお願いします。

(2)社会保険料の算定基礎届について
社会保険料の見直しを行う算定届提出の時期となります。4・5・6月に支払われた給与額をもとに保険料を見直しします。
近々、ご用意頂く書類等の案内文書を発送する予定です。お忙しいところお手数をおかけ致しますが、ご協力をお願いします。

(3)賞与の保険料について  
  改めてご確認をお願い致します。

社会保険料率(被保険者負担分)
○ 健康保険  41/1000
(40歳以上65歳未満46.95/1000)
○ 厚生年金  76.75/1000

 
雇用保険料率(被保険者負担分)
○ 一般の事業 4/1000
○ 建設の事業 5/1000
 
 
賞与の支給がございましたら当事務所までご連絡ください。
ご不明な点は当所までご連絡下さい。