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平成21年9月号

市場事務所便り
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社会保険労務士 市場 敬將
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年金・医療制度とも赤字続き

◆過去最大の赤字幅
 厚生労働省は、自営業者などが加入する国民年金とサラリーマンが加入する厚生年金、また、主に中小企業のサラリーマンが加入する「協会けんぽ」の2008年度の決算を発表しました。
 国民年金・厚生年金とも運用損が響き過去最大の赤字幅となっており、赤字額は、国民年金が1兆1,216億円、厚生年金が10兆1,795億円となっています。国民年金が3年連続の赤字、厚生年金が2年連続の赤字です。
 この主な原因は、リーマンショック等により内外の株式市場が大幅に下落したことに加え、為替市場で急速に円高に進んだ影響により、積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用損失が膨らんだためです。
 厚生年金においては、前年度に比べ被保険者数の増加や保険料率の引上げ等により歳入が増加し、歳出について受給者数の増加はあったものの、全体では3,136億円歳入が歳出を上回りました。一方、国民年金では歳入が被保険者数の減少により減ったことにより、歳出が歳入を4,199億円上回っています。

◆年金給付と制度の見直し
 これらの結果が、すぐに年金給付に影響を与えることはないと思われますが、このまま低迷が続くようであれば、現行制度の見直しも迫られそうです。
 また、協会けんぽ(旧政管健保)では収支が2,538億円の赤字となり、単年度赤字は2年連続で、赤字幅も拡大しました。失業が増えたことによる加入者の減少だけでなく、保険料計算のベースとなる給与や所得の水準も下がりました。支出については、高齢化に伴う医療費増が影響しています。



◆協会けんぽでは9月から個別の保険料率
 協会けんぽでは、今年9月から、保険料率が全国一律のものから都道府県ごとに個別に決められることになり、収支の結果がますます影響を及ぼすことになりそうです。



日本人の平均寿命が過去最高を更新

◆女性86.05歳、男性79.29歳
 厚生労働省が2008年「簡易生命表」を公表し、日本人の平均寿命が女性86.05歳、男性79.29歳となり、ともに過去最高を更新したことがわかりました。前年に比べて女性は0.06歳、男性は0.1歳延びていますが、インフルエンザの流行などにより、平均寿命が短くなった2005年以降、3年連続の延びです。
 「簡易生命表」は、その年の死亡状況が変わらないと仮定して、各年齢の人が1年以内に死亡する確率や、平均してあと何年生きられるのかの期待値を示す「平均余命」の指標です。また「平均寿命」とは、0歳時の平均余命のことです。

◆女性は24年連続世界一、男性は4位へ後退
 日本人女性の平均寿命は24年連続世界一で、男性は2007年の3位から4位に後退しました。女性の2位は香港の85.5歳、3位はフランスの84.3歳、4位はスイスの84.2歳の順です。
 一方、男性の1位はアイスランドの79.6歳、2位は香港とスイスの79.4歳となっています。

◆医療・年金制度の充実が求められている
 2008年に生まれた赤ちゃんのうち、65歳以上まで生きる人の割合は女性で93.4%、男性で86.6%となっており、さらに90歳以上まで生きる人の割合は女性が44.8%、男性が21.1%となりました。
 平均寿命が延びた理由については、医療水準の向上などにより、三大死因とされる「がん」、「心臓病」、「脳卒中」の死亡率が下がったことが大きな要因とされており、交通事故による死亡者数が減ったことも影響しているようです。
 平均寿命が延びることに伴って高齢者等が安心して暮らせる社会にするためにも、医療や年金といった制度の充実がますます求められます。



「高額介護・高額介護合算療養費制度」の申請受付開始

◆申請受付がスタート
 平成20年4月から、「後期高齢者医療制度」(長寿医療制度)とともに、「高額医療・高額介護合算療養費制度」(以下、「合算制度」という)が施行されました。
 このうち、「合算制度」については、この8月(加入している医療保険や介護保険により受付開始日が異なる)から順次申請受付が始まりました。

◆「合算制度」の内容
 「合算制度」は、公的医療保険・介護保険の両方を利用している世帯の自己負担額が重くなり過ぎないように、自己負担額の合計が一定の上限額(年額56万円をベースとして、世帯員の年齢構成や所得区分に応じて設定されている)を超えた場合に、超過分が還付される制度です。
 費用の負担については、医療保険者・介護保険者の双方が、自己負担額の比率に応じて負担し合うことになっています。


◆具体的なケース
 想定されるのは、高齢の妻の介護により出費が大きくなっていたところ、夫が病気で倒れてしまいさらに高額な医療費がかかってしまうというようなケースです。このようなケースにおいて、できるだけ世帯の負担を少なくしてあげようというのが、本制度創設の趣旨です。
 例えば夫婦2人の世帯(ともに75歳で市町村民税非課税)が、1年間(8月1日〜7月31日の間)で、夫が医療保険で30万円、妻が介護保険で30万円を支払った場合、世帯としての年間の負担は合計60万円となりますが、支給申請を行うことにより、この場合の上限額(31万円)を超えた金額である29万円が還付されます。
 なお、この「合算制度」の詳細については、厚生労働省のHP
http://www.mhlw.go.jp/za/0724/a10/a10.html)にも掲載されていますので、ご参照ください。

 

〜今月のことば〜

 “官権政治”のより決定的な欠陥は、国民に義務の引き受けや責任の分担を要請することができないことだ。国民は、「選んでいない。頼んでない」官僚の要請には耳を傾けない。法令に依拠したことには従うが、そうでないことには相手にしない。
 だから、政治と行政が劣化していると、義務の引き受けや責任の分担については後回しにして、もっぱら国民の権利要求に迎合するようになる。その結果が、公的部門の巨額な負債をもたらすのだ。
“官権政治”の実態を最も明らかに示しているのは、行政が行政改革を主導していることだ。これは受験生が採点し、被告人が判決文を書いているのと大差がない。戦前どころか、少なくとも昭和30年代までの日本では考えも及ばなかったことだろう。驚くべき政治と行政の劣化ではないか。
 こうなった最大の理由は、官僚が自分たちの人事権をほぼ完全に手中にするに至ったからだろう。この“お手盛り人事権”によって官僚は、政治家を恐れることがなくなってしまった。石橋湛山の時代と現在との大きな違いはそこにある。
90年代の日本の行政改革は、湛山の指摘する「行政改革の根本主義」からは大きく逸れてしまっていた。その本質について、政治家や政党が気付かなかったとしたら、それは自らが設計図を持っていなかったからである。前述したように「政治家は自分の意見を持たなければならない」という湛山の遺訓は、官僚から与えられたものではない、自らの構想力による独自の設計図の有無を言っている。
“民権政治”の傑出した旗頭であった湛山は、生涯にわたって、民権政治の担い手である政治家と有権者に、厳しく義務と責任の引き受けを、求め続けたのである。


田中秀征著
『日本リベラルと石橋湛山 いま政治が必要としていること』より抜粋

〜事務所よりひとこと〜

 長野でもインフルエンザが流行し始めましたが、皆さんはどのような対応をとられていますか?
 先月の事務所だよりとともに、新型インフルエンザ対策規程のひな形をお送り致しましたが、ご覧いただけましたでしょうか。今後を考えると、従業員また会社を守るため(というと大げさですが)、対応を考えておいていただく方が良いかと思います。
 娘の通う学校からは「感染しない」「他の人に感染させない」ということで、注意事項の通知も出ました。当事務所では、手洗い・うがいを奨励し、マスク着用としました。
 色々な報道があるので、惑わされず冷静な判断をしながら気を付けていきたいものです。

(市場敏江)


お知らせ
 
◆9月分より社会保険の保険料率が変わります。(10月納付期限から)
・健康保険料率
  1000分の82より
  1000分の81.5

・厚生年金保険料率
  1000分の153.50より
  1000分の157.04

になります。
 また、算定基礎届により被保険者の新しい標準報酬月額が決定致しました。
 後日、標準報酬決定通知書と保険料案内を送付致しますのでお手数ですが、10月支払いの給与より保険料の変更をお願い致します。
 ご不明な点は当事務所までお問い合わせ下さい。